2000 Fiscal Year Annual Research Report
多環芳香族炭化水素ニトロ誘導体の発生実態の究明およびその毒性評価
Project/Area Number |
12780410
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
中尾 晃幸 摂南大学, 薬学部, 助手 (20288971)
|
Keywords | 多環芳香族炭化水素 / ニトロ化合物 / ダイオキシン類 / 変異原性 / 環境汚染 |
Research Abstract |
多環芳香族炭化水素は代謝活性化を受けると変異原性を示す化合物であるが、これら化合物にニトロ基やアミノ基等の官能基が導入されることにより、その変異原性は相乗的に増加し、ニトロ基が2つ置換された1,8-ジニトロピレンでは代表的な変異原物質であるベンゾピレンの約10万倍を示すことが明らかとなっている。今回、我々は高分離能ガスクロマトグラフィー・高分解能マススペクトロメトリー(HRGC-HRMS)を駆使し、EI-SIM法により我々は標準品として入手可能な29種の化合物の中、25種類の化合物を高感度に分離、同定することを可能とした。そこで、種々の焼却施設からの発生実態を検討したところ、すべての焼却施設からニトロ化合物は検出され、特に共通して検出されたニトロビフェニルやニトロフェナンスレンは高濃度であった。また、極めて変異原性の強いジニトロピレンはCO濃度が高い焼却施設においてのみ検出されるといった興味深い結果が得られた。さらに、ダイオキシン類の軽減化対策が施され、高温焼却が推奨される反面、これら化合物の増加する傾向についても明らかとした。興味あることに、主に排水汚泥といったスラッジを燃焼する焼却施設ではニトロ化合物が増加することが観察された。これは、スラッジ中に豊富に含まれる窒素源や硫黄等に起因していることが示唆される結果となった。また、この焼却施設ではダイオキシン類の生成は極めて微量であり、今回ターゲットとした化合物とは発生機構が異なることが判明した。従って、環境中に放出されるこれらニトロ化合物の人体汚染影響評価を行うことが急務であると考えられた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] T.Nakao et.al.: "Formation of dioxin analoges on combustion process with unregulated small incinerator"Organohalogen Compounds. 46. 205-208 (2000)
-
[Publications] 中尾晃幸 ら: "高分解能GC/MSによる多環境芳香族炭化水素及びニトロ誘導体の分析法の確立とその汚染実態(第1報)"第9回環境化学討論会 講演要旨集. 380-381 (2000)