2000 Fiscal Year Annual Research Report
DNA四重鎖構造を利用した分子認識システムに関する研究
Project/Area Number |
12780438
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 晃充 京都大学, 工学研究科, 助手 (60314233)
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Keywords | DNA四重鎖 / デアザプリン / 修飾核酸塩基 / オリゴヌクレオチド / 遠隔ホール移動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、DNA四本鎖構造(G-カルテット構造)を利用した新しい配列認識手段を開発することにある。平成12年度では、この目的に従って、DNA四本鎖を容易かつ安定に構造を制御することができる分子系を設計、合成し、アッセイを目指した。種々の実験を行った結果、以下に示す知見が得られた。 1)高いスタッキング能を有するプリン塩基の開発 DNA四本鎖構造を捕捉するための分子の合成過程において、新規修飾核酸塩基7-ビニル-7-デアザグアニンが得られた。私は、この塩基がその高いスタッキング能によってB型DNA二本鎖を強く安定化することを見いだした。同時に、この塩基の酸化電位は著しく小さく、DNA内ホール移動の捕捉に利用できる可能性があることがわかった。この内容は、既に論文にて報告された。 2)新規縮重塩基の開発 1)と同様に、DNA四本鎖構造捕捉分子の合成過程において、新規修飾核酸塩基2-アミノ-7-デアザアデニンが得られた。私は、この塩基がチミンだけでなくシトシンとも安定な塩基対形成可能な縮重塩基であることを見いだした。この分子で観察されたような強い結合力を有する縮重塩基はこれまで知られておらず、分子生物学の分野において極めて実用性が高い核酸塩基であると思われる。 3)ランタノイド金属塩によるDNA高次構造の制御 DNA四本鎖構造の形成を制御する方法として、G-rich DNA溶液ヘユーロピウム塩の添加を行った。少量の添加の時、DNA高次構造の形成が観察された。さらに添加を続けていくと、DNA高次構造は解消され、強い蛍光が観察されるようになった。この結果は、ユーロピウム塩によってDNA高次構造の形成を制御することができると同時に、DNAの構造変化を容易に視覚化できたことを示している。 私は、以上のように、本来の目的であるDNA四本鎖の構造制御の研究において成果が得られただけでなく、それに付随して種々の高機能性核酸塩基もまた見いだすことができた。いずれの成果も高い実用性が期待され、本科学研究費は、大変有効に役立てることができたと考えている。
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[Publications] A.Okamoto,T.Nakamura,K.Yoshida,K.Nakatani and I.Saito: "Site-Selective DNA Alkylation of GG Steps by Naphthaldiimide Derivatives Possessing Enantiomeric Epoxide"Organic Letters. 2. 3249-3251 (2000)
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[Publications] K.Tanabe,K.Yoshida,C.Dohno,A.Okamoto and I.Saito: "Control of Electron Transfer in DNA by Peptide Nucleic Acids (PNA)"Nucleic Acids Symposium Series. 44. 35-36 (2000)
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[Publications] A.Okamoto,T.Toshiji,K.Tanaka and I.Saito: "Synthesis and Duplex Stability of Oligonucleotides Containing 7-Vinyl-7-Deazaguanine as a Strong Electron-Donating Nucleobase"Tetrahedron Letters. 41. 10035-10039 (2000)
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[Publications] A.Okamoto,K.Tanabe and I.Saito: "Synthesis and Properties of Peptide Nucleic Acids Containing Psoralen Units"Organic Letters. 3. ASAP (2001)