2000 Fiscal Year Annual Research Report
高速液体クロマトグラフィーを利用した糖鎖間相互作用に関する研究
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12780443
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
菊地 康昭 八戸工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (40204838)
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Keywords | 分子認識 / ホストーゲスト相互作用 / 高速液体クロマトグラフィー / 糖鎖間相互作用 / 糖鎖認識 |
Research Abstract |
本研究では、レゾルシンの8個の水酸基部分が全て糖鎖に置換され、糖鎖が高度に集合している糖クラスター部位を有するレゾルシン環状四量体をホスト分子、また、主たる分析手段を高速液体クロマトグラフィーとして研究を行った結果、今年度は以下に述べる研究成果が得られた。 1.糖クラスターホスト被覆カラムの調製とキャラクタリゼーション 糖クラスターホスト分子をシリカ-ODSカラムへ被覆することを可能とした。ただし、測定する際は水そのものより極性が低い、水-メタノール混合溶媒系を用いる必要がある。また、ホスト分子の剥離量、および熱分析によりホストの被覆を確認し、同時に被覆率を算出した。 2.ホスト被覆カラムによる糖類の分離特性 糖クラスターホスト被覆カラムを用いて糖類の保持時間を測定し、ホストを被覆していないODSカラムとの保持時間を比較した。ODSカラムでは、使用したすべての糖類の保持時間には大きな差は見られず、分配機構に基づく分離能力が全く発現しないのに対し、ホスト被覆カラムでは、殆どの糖類でODSカラムよりも保持時間が増大し、同時に糖類によって保持時間に大きな違いを生ずることが分った。このような保持時間の増大は吸着型分離機構に基づくことから、糖クラスターホスト分子は、極性溶媒中で糖類と水素結合により相互作用できることが明らかとなった。このことは、糖類の水酸基数が増すほど保持時間が増加することや、同一の水酸基数の糖類でも水酸基の立体的な配置の違いが保持時間差に現れることからも支持される。 3.シリカゲルカラムによる糖類の分離特性 水酸基数が極めて多いシリカゲルカラムに糖類の識別能力が発現するのかについて検討したところ、殆ど分離しないことが明らかとなった。このことから水酸基の数がただ多いのではなく、クラスターを形成していることが必要であることが分った。 4.レゾルシン環状四量体被覆カラムによる糖類の分離特性 8個の水酸基が平面的なクラスターを形成しているレゾルシン環状四量体を被覆したカラムに糖類の識別能力が発現するのかについて検討したところ、全く分離しないことが明らかとなった。このことから、水酸基が三次元的に配置している糖クラスターが糖鎖認識には重要であることが明らかとなった。
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