2000 Fiscal Year Annual Research Report
CaMキナーゼホスファターゼの活性制御機構と生理機能の解明に関する研究
Project/Area Number |
12780462
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
石田 敦彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90212886)
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Keywords | 生化学 / 酵素反応速度論 / プロテインホスファターゼ / 合成リン酸化ペプチド / 基質特異性 / カルモデュリン依存性プロテインキナーゼ |
Research Abstract |
CaMキナーゼホスファターゼ(CaMKP)は多機能性CaMキナーゼを脱リン酸化して制御すると考えられる新規プロテインホスファターゼである。本酵素はCaMキナーゼI,II,IVなど多機能性CaMキナーゼに特異性が高いが、本酵素の基質特異性がどのようにして決定されているのかについては全く不明である。そこで本年度ではこの問題に関する手がかりを得るため、固相法によって化学合成した種々のリン酸化ペプチドを用いてCaMKPの基質特異性に関する詳細な速度論的解析を行なった。CaMキナーゼIIの自己リン酸化部位Thr286周辺のリン酸化ペプチドをモデルとして検討した結果、脱リン酸化に必須なモチーフ配列は特に見いだされなかったが、脱リン酸化部位のすぐC末側のPro残基など、脱リン酸化を強く阻害する"negative determinant"-がいくつか同定された。またリン酸化部位のP-ThrをP-Tyrに変えたペプチドでは全く基質にならず、P-Serに変えた場合でも基質活性が大きく低下した。更にリン酸化部位を含む2〜3残基で基質認識には十分であるがリン酸化部位のN末側を全て欠失させると全く基質とならないことも判明した。一方、Cキナーゼでリン酸化されたミオシン軽鎖や活性化MAPキナーゼは何れもCaMKPによる脱リン酸化を受けにくかったが、前者のリン酸化部位に対応するリン酸化ペプチドは全く本酵素の基質にならなかったのに対し、後者のそれはCaMKPの良好な基質であった。以上の結果から本酵素の基質特異性は脱リン酸化部位周辺の一次構造よりはむしろ基質蛋白の高次構造によって規定されるということが示唆された。 なお、これまでSer/Thrプロテインホスファターゼでは合成リン酸化ペプチドを用いて基質特異性を体系的に調べた結果は報告されていないが、本研究は最近確立されたリン酸化ペプチドの固相合成法を利用して、そのような解析が有用であることを示した最初の例である。
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Research Products
(1 results)