2000 Fiscal Year Annual Research Report
含硫黄・含セレンバイオファクターの構造形成を司る類縁酵素群の構造・機能・役割分担
Project/Area Number |
12780470
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (70243087)
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Keywords | システインデスルフラーゼ / 鉄硫黄クラスター / ピリドキサールリン酸 |
Research Abstract |
システインデスルフラーゼは、ピリドキサールリン酸を補酵素とし、L-システインをL-アラニンと硫黄に分解する反応を触媒する。本酵素は、鉄硫黄クラスターの形成に関与すると考えられている。本研究では大腸菌の3種のシステインデスルフラーゼ(IscS、CSD、CsdB)の構造、機能、細胞内での役割を解析した。 1.システインデスルフラーゼと相互作用するタンパク質の探索 N末端にヒスチジンタグを付加したIscSを大腸菌内で発現させ、細胞抽出液をニッケルカラムに供したところ、IscU(IscSと同じ遺伝子クラスター(isc遺伝子クラスター)にコードされる鉄硫黄タンパク質)がIscSと共溶出され、これらの間に特異的な相互作用のあることが明らかとなった。IscSはIscUとの分子間相互作用を介して鉄硫黄クラスターの形成を行う可能性が考えられた。 2.システインデスルフラーゼのin vivo機能解析 iscS破壊株は、M9-グルコース培地で生育しないが、チアミン、ニコチン酸、カザミノ酸を添加した培地では生育が見られた。ニコチン酸や分岐鎖アミノ酸の生合成には鉄硫黄タンパク質が関与するが、iscS破壊株ではこれらのタンパク質上に鉄硫黄クラスターが形成されにくくなっているものと考えられた。また、チアミンに含まれる硫黄原子が、IscSによってシステインから遊離する硫黄に由来する可能性が示唆された。isc遺伝子クラスターの欠損株でも、同様の性質が観察されたが、この欠損株でCsdBを高発現させたところ、M9-グルコース培地で生育するようになったことから、CsdBはisc遺伝子クラスター産物の機能を代替できるものと考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hsaaki Mihara et al.: "Kinetic and mutational studies of three NifS homologs from Escherichia coli : Mechanistic difference between L-cysteine desulfurase and L-selenocysteine lyase reactions"Journal of Biochemistry. 127(4). 559-567 (2000)
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[Publications] Hisaaki Mihara et al.: "cDNA Cloning, Purification, and Characterization of Mouse Liver Selenocysteine Lyase.Candidate for selenium delivery protein in selenoprotein synthesis"The Journal of Biological Chemistry. 275(9). 6195-6200 (2000)
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[Publications] Tomomi Fujii et al.: "Structure of a NifS homologue : X-ray structure analysis of CsdB, an Escherichia coli counterpart of mammalian selenocysteine lyase"Biochemistry. 39(6). 1263-73 (2000)
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[Publications] Gerard Lacourciere et al.: "Escherichia coli NifS-like proteins provide selenium in the pathway for the biosynthesis of selenophosphate"The Journal of Biological Chemistry. 275(31). 23769-23773 (2000)
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[Publications] Shin-ichiro Kato et al.: "Gene cloning, purification, and characterization of cyanobacterial two NifS homologs driving iron-sulfur cluster formation"Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 64(11). 2412-2419 (2000)