2000 Fiscal Year Annual Research Report
膜蛋白質複合体チトクロム酸化酵素分子内のリン脂質の構造と機能研究
Project/Area Number |
12780495
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 栄樹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (00294132)
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Keywords | リン脂質 / チトクロム酸化酵素 / X線結晶構造解析 / 放射光 |
Research Abstract |
膜蛋白質複合体であるウシ心筋チトクロム酸化酵素の結晶構造から、分子内に取り込まれたリン脂質(カルジオリピン(CL)、ファスファチジルコリン(PC)、ファスファチジルエタノールアミン(PE)、フォスファチジルグリセロール(PG))が発見できた。これら分子内に取り込まれたリン脂質の構造とリン脂質とサブユニット内のアミノ酸残基との詳細な結合様式を決定することは、膜蛋白質の構造形成を理解する上で極めて重要なことである。本研究では、チトクロム酸化酵素の高分解能での精密な結晶構造解析を行い、リン脂質の絶対構造を決定すると共に、リン脂質とアミノ酸残基との相互作用を詳細に調べ、膜蛋白質複合体の分子構築におけるリン脂質の役割を解明する。 低温凍結条件下で1.8Å分解能までの結晶回折強度データを収集した。結晶構造に見られたリン脂質のうち、PE1分子とPG2分子は、チトクロム酸化酵素のサブユニットIIIが構成する膜貫通αヘリックスの大きな空間に特異的に結合しており、これらは蛋白質と非常に多くの水素結合によりヘッド領域が固定され、脂肪酸部位においても多くの疎水性相互作用が見られた。他のリン脂質では蛋白質との相互作用は脂肪酸部位における疎水性相互作用が主であった。サブユニットIIIに取り込まれ、ヘッド領域、疎水領域共に蛋白質と強く相互作用しているリン脂質の不斉炭素の構造は、R体であった。今後、異方性温度因子を含んだ構造精密化を行い、サブユニット間に存在するリン脂質の蛋白質との相互作用について検討し、構造形成のどの段階で取り込まれたかを検証する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Nakai, et al: "Crystal structure of N-carbamyl-D-amino acid amidohydrolase with a novel catalytic framework common to amitohydrolases"Structure. 8. 729-737 (2000)
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[Publications] Fei M.J., et al: "X ray structure of azide-bound fully oxidized cytochrome C oxidase from bovine heart at 2.9Å resolution"Acta Cryst. D56. 529-535 (2000)
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[Publications] M.Odoko, et al: "Optimization of the energy constant of the methionine S^8-C^8 bond for X-PLOR refinement of protein structure"J.Appl.Cryst. 34. 80-81 (2001)