2000 Fiscal Year Annual Research Report
藻類の低温環境適応におけるmRNAの構造転移を誘導する蛋白質の構造機能相関の解析
Project/Area Number |
12780498
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森田 勇人 愛媛大学, 理学部, 助手 (50274303)
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Keywords | ラン藻 / mRNA / 構造転位 / RNA結合蛋白質 / 低温環境適応 / NMR |
Research Abstract |
細胞内でゲノムDNA上の遺伝情報に基づき蛋白質を合成する際の情報伝達の中心的役割を果たすmRNAは、低温環境下では、部分的に相補的な領域の間で二本鎖を形成し、遺伝情報の翻訳効率の低下が生じる。このような低温環境下での蛋白質の翻訳効率の低下を防ぐために、mRNA上に生じた二次構造を認識し、ときほぐす機能を持つRNA結合蛋白質が細胞内で発現することが、多くの生物種において知られている。本研究では、これら一連のRNA結合蛋白質が二本鎖を形成したmRNAを認識し、ときほぐす分子機構を構造化学的に解明することを目的とした。 試料には、RNA recognition motif(RRM)とグリシンリッチドメインの2つの機能領域から構成され、これら一連のRNA結合蛋白質の中で最も基本的な構造を取ると予想された、ラン藻Anabaena variabilis M3において発現するRbpA1蛋白質を用い、本年度は、安定同位体標識法を併用した多次元NMR分光法により、RbpA1蛋白質の溶液構造解析を行うことで、各機能領域の構造機能相関を解明することを試みた。その結果、RRMは4本のβ鎖と2本のαヘリックスから構成されるが、グリシンリッチドメインは、溶液中では明確な構造を取らないことを明らかにした。これにより、グリシンリッチドメインは、幅広い温度領域でRRMを安定化させるのに寄与するとともに、静電相互作用などにより、RRMと二本鎖を形成したmRNAとの会合を安定化させる機能を持つと推測した。現在、グリシンリッチドメインを部分的に欠損したRbpA1を作製し、その熱安定性および二本鎖を形成したmRNAとの結合親和性の変化の解析を進めている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Morlta,E,H.,Murakami,T.,Uegaki,K.,Yamazaki,T.,Sato,N.,Kyogoku,Y.,Hayashi,H.: "NMR backbone assignments of the cold-regulated RNA-binding protein,RbpA1, in the cyanobacterium Anabaena variabills M3.""J.Biomol.NMR. 17. 351-352 (2000)
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[Publications] Tanaka,Y.,Morita,E,H.,Hayashi,H.,Tanaka,T.,Taira,K.: "Well-conserved tandem G-A pairs and the flanking C-G pair in hammerhead ribozymes are sufficient for capture of structurally and catalytically important metal ions.""J.Am.Chem.Soc.. 46. 11303-11310 (2000)