2000 Fiscal Year Annual Research Report
非天然アミノ酸を認識するアミノアシルtRNA合成酵素の創製
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12780507
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
横川 隆志 岐阜大学, 工学部, 講師 (90242304)
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Keywords | 非天然アミノ酸 / 生体外タンパク質合成 / 酵母 / チロシルtRNA合成酵素 / チロシン / DOPA / ヨードチロシン / 部位特異的導入 |
Research Abstract |
酵母チロシルtRNA合成酵素(TyrRS)のチロシン認識部位と考えられるアミノ酸残基をアラニンとグリシンに置換した10種類以上の変異体を作製した。ほとんどの変異体はtRNAにチロシンを受容させる活性を失っていたので、酸性PAGE法を用いてチロシンアナログ受容の可能性を探ったが、チロシンを認識しない変異体はどれもチロシンアナログを認識しなかった。しかし43位のチロシン残基をグリシンに置換した変異体(Y43G)はチロシンに対する活性を僅かに有していた。そこでtRNAにチロシンアナログを受容させるか検索したところ、種々の3位に置換基を持つチロシンアナログが受容された。特筆すべきは、野生型のTyrRSが全く認識しない3-ヨードチロシンをtRNAに受容させたことで、この意味では新規なTyrRSが創製されたと言える。 次にY43Gの種々のチロシンアナログに対する速度論的パラメーターを求めた。その結果チロシンに対するKmは野生型と比較して80倍大きく、約1mMとなっていた。その他の3-置換チロシンアナログに対するKmもおおよそ、1mMとなっていた。このことは、チロシン認識部位のスペースが広がったことで、チロシンに対する結合能が低下したかわりに、置換基のあるチロシンを受け入れる余裕が生まれたということを示す。つまり非天然アミノ酸に対する特異性が上昇したとは必ずしも言えない。ただ3位に水酸基を持つDOPAに対するKmは0.5mMと3-置換チロシンアナログの中ではもっとも小さく、チロシンに対するKmよりも小さくなった。野生型TyrRSのDOPAに対するKmは1.8mMと大きいので、大腸菌の生体外タンパク質合成系にY43G、サブレッサーtRNA、DOPAを加えることで、サプレッサーtRNAが触媒的に働きながら、タンパク質の部位特異的にDOPAを導入することができるか試みる。
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