2000 Fiscal Year Annual Research Report
"ものを見分ける"ために必要な遺伝的プログラムの解析
Project/Area Number |
12780512
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中越 英樹 岡山大学, 理学部, 助教授 (50314662)
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Keywords | ショウジョウバエ / 視覚認識 |
Research Abstract |
ショウジョウバエ視覚認識行動に異常を示す突然変異体の原因遺伝子として単離されたdefective proventriculus(dve)遺伝子の上流発現制御領域によって発現が支配される神経細胞群(Dve標識細胞)は、視覚系の介在神経および視覚中枢に投射する神経細胞を含み、これらDve標識細胞の機能は視覚認識能の獲得に重要な役割を果たしていると考えられる。Dve標識細胞がGAL4発現細胞として標識されたdve-GAL4系統に、UAS-TNT系統を交配した子孫では、Dve標識細胞においてテタヌス毒素(tetanus toxin;TNT)を発現し、Dve標識細胞の神経活動が阻害される。このような個体における視覚認識行動を予備的に調べた結果では、明らかな行動異常が観察されていた。 本研究においては、この結果の再現性を確認するとともに、Dve標識細胞におけるdve遺伝子発現の制御と視覚認識行動との関連を調べることを目的とする。Dve標識細胞においてテタヌス毒素を強く発現させ過ぎると致死になってしまうが、弱い発現誘導条件では成虫が生まれてくる。このような個体を用いて視覚認識行動を測定したところ、予備実験の結果とは異なり、正常な認識行動を示した。予備実験の結果が再現されなかった原因として、毒素の産生効率が低下している可能性が考えられたので、飼育温度を変化させ、毒素の発現効率を上昇させてみたが、結果は変わらなかった。その他の要因として、飼育密度、照度などの条件を検討中であるが、現時点では原因を特定するに至っていない。今後、Dve標識細胞における神経活動、dve遺伝子発現と視覚認識行動との関係をさらに検討していく予定である。
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