2000 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子c-Myc蛋白質のリン酸化と蛋白質分解機構
Project/Area Number |
12780526
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
野口 耕司 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 研究員 (80291136)
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Keywords | c-Myc / JNK / ASK1 / プロテアソーム / リン酸化 |
Research Abstract |
c-Myc蛋白質は半減期の短い核内燐酸化蛋白質で、細胞増殖、発生分化、細胞死(アポトーシス)に於いて重要な役割を演じている。申請者は、ASK1-JNKによりc-Myc蛋白質のリン酸化が制御されていることを見出しており、本研究では、特に62番目と71番目のセリン残基のリン酸化が、ユビキチン-プロテアソーム蛋白質分解系にどのような影響を与えるのかを明らかするため、以下の実験を行った。ヒト293T細胞にc-mycの発現プラスミドと共にASK1(正常型)、dASK1(恒常活性型変異体)、ASK1/KM(キナーゼ不活性型変異体)を共発現させて、c-Myc蛋白質のリン酸化をウエスタン法により検討したところ、活性化型ASK1の共発現でc-Myc蛋白質の62番目と71番目のセリン残基のリン酸化が高進していることが認められた。また、マウスNIH3T3細胞にdASK1、ASK1/KMを安定に発現する細胞株を樹立し、これらの安定発現細胞株に於いて、c-Mycの発現量が変化がないか蛋白レベルで検索したところ、興味深いことにプロテアソーム阻害剤MG132(Carbobenzoxy-Leucyl-Leucyl-Leucinal)処理において、ユビキチン化c-Myc蛋白質の蓄積過程は変化がないにも関わらず、その後のユビキチン化c-Myc蛋白質の分解の経時変化が、ASK1発現安定細胞株においてのみ抑制されていること判明した。また、ASK1存在下、非存在下でc-Myc蛋白質の半減期を比較検討したところ、ASK1の共発現でc-Myc蛋白質の分解が初期において遅延されていることが判明した。以上の実験結果より、ASK1からのシグナルによりc-Myc蛋白質のリン酸化、特に62番目と72番目のセリン残基のリン酸化が高進し、c-Myc蛋白質の分解が抑制されることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)