2000 Fiscal Year Annual Research Report
基底膜型インテグリンを介するシグナル伝達における癌抑制因子PTENの役割
Project/Area Number |
12780536
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
顧 建国 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (30314420)
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Keywords | 基底膜 / インテグリン / シグナル伝達 / 細胞骨格 / 細胞移動 / 低分子量G蛋白質 / 癌抑制因子PTEN |
Research Abstract |
これまでのインテグリンの研究では、フィブロネクチン(FN)への接着によってインテグリンα5β1から伝達されるシグナルの解析に重点が置かれてきた。しかし、FNを用いた研究だけでは、インテグリンを介する多様なシグナル伝達のごく一面しか捉えることができない。我々は、成体上皮基底膜の主要な接着蛋白質であるラミニン-10/11(LN-10/11)を用い、上皮アクチン細胞骨格の形成や細胞の接着・移動がLN-10/11上でどのように制御されているかを検討した。1)LN-10/11はFNより強く細胞の移動を促進し、その細胞移動はインテグリンα3β1依存的であった。2)FNに接着した細胞では典型的なストレスファイバーや接着斑が明瞭に観察されたが、LN-10/11に接着した細胞ではストレスファイバーや接着斑がほとんど認められなった。3)LN-10/11に接着した細胞では強いRacの活性化が検出されたが、Rhoはほとんど活性化されなかった。逆に、FNに接着した細胞では強いRhoの活性化が検出されたが、Racは僅かしか活性化されていなかった。4)LN-10/11上での細胞移動やRacの活性化はCrkIIのSH2またはSH3変異蛋白質によって阻害された。LN-10/11からインテグリンα3β1を介して伝達されるシグナルは、フィブロネクチンからインテグリンα5β1を介して伝達されるシグナルと異なることが明らかとなった。このようなインテグリンのタイプに依存したシグナルは上皮細胞の分化や癌化の過程にも深く関与している可能性がある。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Li,BS., et al.: "Integrin α1β1-mediated activation of cyclin-dependent kinase 5 activity is involved in neurite outgrowth and human neurofilament protein H Lys-Ser-Pro tail domain phosphorylation."J.Neurosci.. 20・16. 6055-6062 (2000)