2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞軸索誘導におけるGPIアンカー型Ephrinの特異的分解の分子機構と意義
Project/Area Number |
12780568
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 光治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60272481)
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Keywords | Eph / axon guidance / ADAM |
Research Abstract |
Ephrin-A2はGPIアンカー型の膜表面分子であり、そのレセプター(EphAファミリー受容体型チロシンキナーゼ)を持つ神経細胞の軸索を強く反発する。Ephrin-A2のこの作用は神経ネットワーク構築において非常に重要であることが明らかとなってきているが、その分子メカニズムに関して一つの大きなパラドックスが存在する。すなわち、ephrin-A2とEphA受容体はともに膜蛋白質であり、両者の結合は非常に強固であるにも関わらず、どうして両者をもつ細胞同士が接着せず、速やかに反発するのであろうか?私はこのパラドックスを解くべく、EphA受容体とephrin-A2が結合したあと、これらの蛋白質にどういう変化が起きるかを調べた。その結果、EphA受容体が結合したephrin-A2は細胞膜近傍領域で特異的な蛋白分解を受け、細胞膜から遊離することを見出した。更に、この分解がメタロプロテアーゼによるものであり、中でも既に神経発生において重要な機能を持つことが知られていたKuzbanian/ADAM10という酵素によるものである可能性が高いことを見出した。Kuzbanian/ADAM10とephrin-A2は恒常的な複合体を形成しており、そこにEphA受容体が結合することでKuzbanian/ADAM10の酵素活性が活性化されることが強く示唆された。更に、EphA結合依存的な分解を受けない変異体を作製しその作用を調べたところ、この変異体をもつ細胞に出会った神経細胞軸索の反発は、顕著に阻害された。これらの結果から、EphA依存的なephrin-A2の分解は神経細胞の軸索誘導において重要であることが強く示唆された。
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