2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780605
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
中平 健祐 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 助手 (10260043)
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Keywords | 電位依存性K^+チャネル / 小脳顆粒細胞 / 神経前駆細胞 / 細胞分裂 / ソニックヘッジホッグ / Kv1.1 / Kv1.2 / Kv3.1 |
Research Abstract |
活動電位を担うイオンチャネルは成熟した神経細胞のみに発現しているわけではなく、分化・成熟の過程で段階を追って発現する。それに伴い、膜の電気的興奮性も変化する。本研究では、小脳顆粒細胞の前駆細胞段階から発現する遅延整流性カリウム電流が、前駆細胞の分裂の制御及び最終分裂の決定に関与するかということと、最終分裂後の細胞移動及び形態変化に果たす役割について明らかにすることを目的として実験をおこなった。生後2日目のマウスより調製した培養小脳顆粒細胞にマイトジェンの作用が知られているソニックヘッジホッグを添加することにより、前駆細胞の細胞分裂を維持する培養系を作製した。この培養系に対し、カリウムチャネル阻害剤であるTEAを添加したところ、細胞分裂が抑制された。この細胞分裂抑制はアポトーシスによる細胞死の誘発によるものではないことを確認した。この細胞に発現している遅延整流性カリウム電流を測定すると、電流量の約70%が抑制されていた。これらの結果から、遅延整流性カリウム電流が細胞分裂に必要であると考えられた。この現象に関与するカリウムチャネルを同定するために、チャネル阻害剤の効果を検討した。Dendrotoxin-I、Margatoxin、Charybdotoxin、Paxillineのいずれも前駆細胞のカリウム電流を阻害しなかったことから、Kv1.1、Kv1.2、Kv1.3、Ca-dependent K channel、は関与していないと考えられた。一方、Kv3.2については、抗体染色によりこの細胞で発現が確認されたが、電流成分への寄与の度合いについて確認する必要がある。現在、チャネル分子を同定してカリウム電流と細胞分裂の関連をより直接的に解析するために、Kv1、Kv2、Kv3のドミナントネガティブ変異体、及びantisense RNAを細胞に導入して検討をおこなっている。
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Research Products
(1 results)