2000 Fiscal Year Annual Research Report
サル下側頭皮質前部における「顔」に基づく個体同定のニューロン機構
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12780619
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
永福 智志 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (70262508)
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Keywords | サル / ニューロン活動 / 下側頭皮質 / 上側頭溝 / 「顔」ニューロン / 短期記憶 / 長期記憶 / 多次元尺度分析 |
Research Abstract |
本年度は複数の健常なサルを用いて,個体同定に基づく遅延見本合わせ課題(I-DMS課題)遂行中のサルの上側頭溝前部領域と下側頭回前部領域から脳定位固定装置ならびに微小電極法を使用して単一ニューロン活動記録およびデータ解析を行った。I-DMS課題では,サルが固視点に固視した後,見本刺激が呈示され一定の遅延期間の後,様々な人物の「顔」からなるテスト刺激が呈示される。これらの視覚刺激は主に,サルにとって既知の人物の「顔」を,7方向(左右横向き,左右斜め向き,および正面向きを含む)から撮影したデジタル画像で構成する。サルは見本刺激と同一人物の「顔」刺激を同定することが要求される。すなわち,見本刺激と「顔」の向きが異なっても,画像の人物が同一であればそのテスト刺激は正解となる。正解テスト刺激が呈示された場合は,レバー押し反応を行うとジュースが報酬として与えられるが,正解テスト刺激でない場合(妨害刺激)は,サルは何もせずに次のテスト刺激の呈示を待たなくてはならない。各試行では正解テスト刺激が呈示されるまで妨害刺激が複数回呈示される。また,サルにとって未知の人物の正面向きの「顔」や無意味な幾何図形パターンも対照条件として使用した。 I-DMS課題遂行中のサル上側頭溝前部領域から62個,また,下側頭回前部領域から53個の「顔」に応答性を有するニューロン(「顔」応答ニューロン)が記録された。上側頭溝前部領域には「顔」の向きに選択性を示す「顔」応答ニューロンが多数存在し,この中には,従来より報告の少ない斜め向きの「顔」に対して選択的応答を有するニューロンが多数含まれていた。一方,下側頭回前部領域の「顔」応答ニューロンの「顔」の向きおよびアイデンティティに対する選択性は低かったが,「顔」の既知性に感受性を有するものが存在した。上側頭溝前部領域および下側頭回前部領域における「顔」の表現様式を調べる目的で,これら「顔」応答ニューロンのニューロン応答パターンに対する多次元尺度分析(Multi-dimensional scaling,MDS)を行い,上側頭溝前部領域および下側頭回前部領域における「顔」空間を構成した。その結果,上側頭溝前部領域では「顔」の向きなど,「顔」の知覚情報が,下側頭回前部領域では「顔」の既知性およびアイデンティティが,「顔」応答ニューロン集団のニューロン応答パターンにより,「顔」空間に表現されていることが示された。以上の結は「顔」情報処理において,サル上側頭溝前部領域と下側頭回前部領域がそれぞれ異なる機能的役割を有していることを示唆する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Eifuku S.,De Souza W.C.,Nishijo H.,Tamura R.and Ono T.: "Multi-dimensional scaling of face stimuli based on neuronal activities of monkey ventral and dorsal inferior temporal areas during face identification."Society for Neuroscience Abstracts. 26. 952 (2000)