2000 Fiscal Year Annual Research Report
匂い物質による神経細胞イオンチャネルの抑制機構に関する研究
Project/Area Number |
12780620
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
河合 房夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20300725)
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Keywords | パックククランプ / 嗅細胞 / 視細胞 / 水平細胞 / 網膜 / イオンチャネル / 胞電位固定 / 匂い物質 |
Research Abstract |
匂い物質には嗅細胞に発現するイオンチャネルを非選択的にブロックし、活動電位の発生を抑制する働きがある。しかしながら、匂い物質によるイオンチャネルの抑制が、嗅細胞に特異的なものか否かについては不明であった。そこで本研究は、まず、イオンチャネルが既に同定されているキンギョ網膜水平細胞をプローブとして用いることにより、匂い物質のそのイオンチャネルへの影響を解析した。匂い物質であるアミルアセテートは、水平細胞のL型Ca電流、遅延整流性K電梳、A電流、及び異常整流性K電流の全てを、濃度依存的に抑制することを見出した。また、その抑制メカニズムを解析したところ、アミルアセテートはL型Ca電流の不活性化曲線を過分極側に移動させることにより、その電流を抑制することを明らかにした。これらの研究成果は、Neuroscience Letters(281:151-154,2000)に発表した。さらに電位依存性チャネルだけでなく、サイクリックヌクレオチド依存性イオンチャネルへの匂い物質の影響も検討した。従来の研究により、匂い物質は嗅細胞繊毛に存在するサイクリックヌクレオチド依存性イオン電流を抑制することが知られていたが、その抑制のメカニズムは明らかではなかった。すなわち、匂物質がセカンドメッセンジャーを介してサイクリックヌクレオチド依存性イオン電流を抑制するのか、あるいは直接そのチャネルを抑制するのかは不明であった。本研究では、匂い投与によりセカンドメッセンジャーが活性化されないイモリ視細胞を用いて解析したところ、匂い物質が直接サイクリックヌクレオチド依存性イオンチャネルを抑制することを見出した。これらの研究成果は、Brain Research(876:180-184,2000)に発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Fusao KAWAI and Ei-ichi MIYACHI: "Odorants suppress voltage-gated currents in retinal horizontal cells in goldfish"Neuroscience Letters. 281. 151-154 (2000)
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[Publications] Fusao KAWAI and Ei-ichi MIYACHI: "Direct suppression by odorants of cyclic nucleotide-gated currents in the newt photoreceptors"Brain Resarch. 876. 180-184 (2000)