2001 Fiscal Year Annual Research Report
マウス新規ヘツジホツグ受容体;パッチ2の胚発生、及び成体での機能解析
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12780628
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
元山 純 理化学研究所, 病因遺伝子研究グループ, 上級研究員 (70321825)
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Keywords | 分子生物学 / 発生学 / 皮膚 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
平成13年度に設けた研究実施計画の成果は以下の通りである。 (A)PTCH2のマウス胚発生過程での機能解析 遺伝子ターゲッティングによりPtch2遺伝子を破壊した。Ptch2ヘテロマウスは顕著な異常を示さず、ヘテロマウス同士を交配しホモ胚を作成した。その結果、ホモ胚は正常に出生すること、出生後も野生型個体と変わらず成長、加齢を示すことがわかった。Northern analysisの結果からPtch2の正常なmRNAは産生されていないことを確認した。PTCH2蛋白質が失われたかどうかを確認するため、PTCH2特異的な抗体を用いて引き続き検討中である。 (B)Ptch2の変異と癌の発症との関係 ヒトの癌組織からPtch2遺伝子の変異が発見されPtch2も癌抑制遺伝子であることが示唆されている。我々はPtch2遺伝子産物の癌抑制効果を検討するためにヘテロマウスとホモマウス集団について発癌頻度をモニター中であるが、現在までの観察によりヘテロおよびホモマウス集団からは有意な発癌率の向上は観察されない。しかしホモマウス集団中に脱毛を伴う皮膚の異常を示す個体が多く観察された。我々は毛嚢でのPtch2遺伝子の高い発現を報告している。最近、成体の毛嚢でもPtch2遺伝子が発現していることを確認した。現在その異常について、発症頻度の雌雄の別、週齢、発症部位、組織学的所見について詳細な検討を行っている。同時に皮膚の裂傷治癒過程に障害がある可能性があり、皮膚再生過程におけるPtch2の機能についても検討している。
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