2000 Fiscal Year Annual Research Report
経胎盤感作と新生児における免疫寛容の成立・破綻に関する研究
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12780629
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Research Institution | 国立公衆衛生院 |
Principal Investigator |
今岡 浩一 国立公衆衛生院, 衛生微生物学部, 主任研究官 (90211755)
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Keywords | 食物アレルギー / 妊娠 / 経胎盤感作 / 卵白アルブミン(OVA) / IgE / コレラトキシン(CT) / ディーゼル排気微粒子(DEP) / 経口免疫寛容 |
Research Abstract |
食物アレルギー発症と胎生期の母胎胎盤を介した感作の影響を、経口免疫寛容との関連を含め、明らかにすることを目的とした。 1)先に報告した、妊娠中〜後期のBrown Norwayラット(母)に、CTの経口投与下で、OVAを尾静脈より免疫することにより、仔ラットにOVA特異的IgEを誘導する系を用いた。 2)経口免疫寛容の成立に対する影響をみるため、仔に大量のOVAを経口投与後、OVAをAlum adjuvantと腹腔内に免疫した。CT非投与群では、免疫応答を示さず、経口免疫寛容が成立していることが確認された。 一方、CT併用群では、特異的IgE,IgGが上昇し二次免疫応答を示し、経口免疫寛容が破綻していることが示された。 3)CTと同様に、Th2系の免疫応答を誘導すると考えられるDEP(ディーゼル排気微粒子)を、大気汚染物質のアレルギー疾患増加への関与を探る目的で用いてみた。その結果、CTよりは弱いが、仔ラットにOVA特異的IgEを誘導することを得た。CTと同様な系で、その経口免疫寛容に対する影響を検討したところ、優位さは認められない物の、経口免疫寛容が破綻している可能性が示唆された。 以上より、妊娠中〜後期の抗原(アレルゲン等)の大量摂取に、自然界に存在する、Th2系に作用する免疫機能修飾因子が加わると、その産児は、胎児期に抗原特異的IgE産生能を獲得し、かつ、その後の同一抗原に対し、経口免疫寛容が成立しない可能性が示唆された。さらに、例数を増やし、その影響を検討することが必要であると考えられた。
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