2000 Fiscal Year Annual Research Report
琉球列島の島嶼生態系における自然環境の修復技術の開発と保全に関する研究
Project/Area Number |
12794001
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
土屋 誠 琉球大学, 理学部, 教授 (40108460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊澤 雅子 琉球大学, 理学部, 助教授 (10192478)
萩原 秋男 琉球大学, 理学部, 教授 (90126889)
諸喜田 茂充 琉球大学, 理学部, 教授 (50045027)
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (50153838)
渡久山 章 琉球大学, 理学部, 教授 (50045001)
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Keywords | 島嶼生態系 / サンゴ礁 / マングローブ / 生物多様性 / 物質循環 / 赤土汚染 / 環境修復 / イリオモテヤマネコ |
Research Abstract |
琉球列島の島嶼生態系の現状と攪乱の程度を調査し、修復のための方法について模索した。亜熱帯広葉樹林における全植物個体を対象にした種多様度指数と胸高直径4.5cm以下の個体を対象にした値がほぼ等しいことを見いだした。これは下層植生に熱帯性の樹木が多く含まれているためで、この生態系の多様性を保つためには、下層植生の保全が重要であることが示される。イリオモテヤマネコの行動は環境の地形要因に影響を受けていること、地域間の食性にも違いがあることを考慮すると、多様な自然を保全することの重要性が示唆される。赤色酸性土壌が河川や海洋に流入する過程における化学変化を調査し、従来淡水に使われていた水質分析方法を検討した結果、海水にも応用できることを確認した。このことは陸、川、海の相互関係を研究するために有効である。マングローブ生態系、干潟生態系における炭素と窒素の動態を解明するため、底生生物の摂食活動と関連させた研究を開始した。マングローブが落葉した後の分解のパターンは種によって異なり、また底生生物の食物源もマングローブの生育状況により異なった。さらにマングローブ域に生息する生活史や生態が不明な甲殻類2種の初期生活史について調べ、変態過程を図解した。海域においては、1)サンゴ群集の回復過程の野外調査、2)2種のサンゴをモデルとしたサンゴ個体群間の遺伝子流の解析、3)高水温下での光の軽減が、サンゴの白化に及ぼす影響に関する実験、4)幼生保育型サンゴの幼生供給源の確立に関する野外実験、5)ナマコ類による摂食活動の定量化、等について研究した。特筆すべき結果は、分散範囲の狭い幼生保育型のサンゴでは、慶良間諸島が沖縄島におけるサンゴ群集の回復における幼生の供給源となる可能性が、分散範囲の広い放卵放精種では慶良間諸島のみならず石垣・西表地域も幼生の供給源となる可能性があることが示唆されたことである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Meziane,T.and M.Tsuchiya: "Fatty acids as traceres of organic matter in the sediment and food web of a mangrove/intertidal flat ecosystem, Okinawa, Japan."Mar.Ecol.Prog.Ser.. 200. 49-57 (2000)
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[Publications] Gwada,P.,M.Tsuchiya and Y.Uezu: "Leaf phenological traits in the mangrove Kandelia candel (L.) Druce."Aquatic Botany. 68. 1-14 (2000)
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[Publications] Shokita,S.: "Current status and perspectives of aquaculture in the coral reef area around the Ryukyu Islands."Suisanzoshoku. 48. 261-265 (2000)
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[Publications] Islam.M.,Shokita S.and T.Nagai: "Effects of salinity on the larval development on the mangrove dwelling semitererestrial crab, Perisesarma bidens (de Haan)."Crustacean Res.. 29. 152-159 (2000)
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[Publications] Izawa,M.,N.Sakaguchi and T.Doi.: "The recent conservation program for the Iriomote cat, Felis iriomotensis."Tropics. 10. 79-85 (2000)
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[Publications] Said Ali Vuai,Mariko Yonashiro and Akira Tokuyama: "Effect of Ionic Strength on the Absorbance in Aluminium-Tiron Complex."Bull.Coll.Sci.,Univ.of the Ryukyus. No.70. 97-102 (2000)