2000 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆高齢者に対する音楽と振動刺激が生活リズム同調に与える影響
Project/Area Number |
12832010
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
湯浅 孝男 秋田大学, 医療技術短期大学部, 教授 (90241679)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本橋 豊 秋田大学, 医学部, 教授 (10174351)
|
Keywords | 痴呆高齢者 / 聴覚 / 振動覚 / 音楽 / 行動量 |
Research Abstract |
1.痴呆高齢者に尋常小学校唱歌を聞かせて,聴覚刺激のみの場合と聴覚に振動刺激を加えた場合の反応の違いを検討した.対象者は3名だった(症例A:女性,74歳,HDSR13点.症例B:女性,71歳,HDSR2点.症例C:男性,81歳,HDSRO点).装置として体感音響装置(ボディーソニック;PIONEER RELACTIVE-1)を使用した.刺激は聴覚のみの場合と聴覚に振動覚を加えた場合を交互に与えた.症例に見られる身体的表現(音楽と一緒に曲を口ずさむ,微笑むなど)の持続時間をストップウオッチで測定した.結果としては,症例AとBは4回の測定でいずれの回も聴覚に振動覚が伴った場合の方が身体的表現の持続時間が長く集中して聞いていた.症例Cは曲による差の影響の方が大きかった.聴覚は前庭系で処理される振動感覚から由来したものであるといわれている.高齢者,特に痴呆を伴った高齢者の場合には音楽刺激は聴覚だけでなく他の感覚,特に振動感覚を併用した方が効果的であると思われる. 2.対象者の好みの音楽をCDに編集して約2ケ月間ボディーソニックを使用して聴かせた.影響を連続的携行型行動量計(アクティウオッチ;Actiwatch,Mini-Mitter Co.Inc.)により測定した.対象者は6名だったが,内2名は測定期間中に体調の不良などの原因により中断したため,4名を対象とした(平均年齢76.8±3.9).好みの音楽の選定は昭和初期から昭和60年代にかけての流行歌の中から行った.対象者4名の内3名は行動量の増加がみられたが1名は増加が認められなかった.増加が認められなかったケースは鬱の傾向が以前からあり,音楽は好んで聞いたが日常生活には変化が認められなかった.行動量に変化が認められた3名は音楽を聴く時間を楽しみにしていて生活にはりがでたと答えていた.好みの音楽を聴覚に振動覚を伴わせて聞くことが行動を活性化していたものと思われる.
|