2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経・筋のinteraction-部分脱神経筋の回復過程の機序
Project/Area Number |
12832017
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
立野 勝彦 金沢大学, 医学部, 教授 (40092788)
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Keywords | 部分脱神経 / 運動負荷 / 無負荷 / 神経発芽 |
Research Abstract |
末梢神経障害は、リハビリテーションの場で取り扱うことが多いが、その障害を受けた神経および筋についての回復過程や治療法について確固たる実証はない。そこで部分脱神経筋(以下PD)をラットにて作成し、その神経・筋の相互作用について検証した。現在までの報告では、神経筋接合部分での観察のみで、神経および筋自体の病態像を捕らえたものはない。従来のPD作成方法では障害の程度が実験者によって異なることから、本実験では第5腰髄神経節を切離し、恒常的な部分脱神経筋を作り出すことができた。部分脱神経をおこした神経の末梢部分での髄鞘内面積、ヒラメ筋の筋湿重量、筋線維横断面積、筋線維のタイプ分類を調べた。前年度はPDになんら操作せず、その病態像を調べたが、本年度は運動負荷(トレーニング)を加えたラットと逆に無負荷(後肢懸垂)にしたラットによってどのように神経・筋が影響しあうのかを検証した。2週間のトレーニングにより髄鞘内横断面積は減少するが、PDをしていない側の筋線維横断面積は増大し、また6週目でPD側の残存している筋線維も増大することが分かった。後肢懸垂では髄鞘内横断面積は、PDで小さい傾向にあり、筋線維横断面積は2週、6週ともに経過を経るごとに減少するが、興味あることにPDによる筋線維は減少の度合いがPDされていない筋線維よりも遅れてきていることが想像された。つまりPDのうち神経・筋が相互に働いている筋線維、つまり残存している筋線維は、トレーニングにより反応し、無負荷により早急に萎縮することが検証された。互いに神経と筋が早急に作用しあってなされ得ることが解明されたが、今後PDにおける発芽の問題や神経からの誘発物質、さらに運動負荷の量的なものがどのようにPDに影響するのかを明らかにすべきと思われる。
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