2000 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚刺激に対する応答脳波を利用した意志伝達補助装置に関する研究
Project/Area Number |
12832027
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
川村 尚生 鳥取大学, 工学部, 助手 (10263485)
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Keywords | 事象関連電位 / P300 / 意志伝達補助装置 / 聴覚刺激 |
Research Abstract |
事象関連電位(Event Related Potentials:ERP)のP300成分を用いた意志伝達補助装置(Communication Aid:CA)の実現のために,聴覚刺激によるP300成分を用いた項目選択の研究を行った. 5種類の単語「はい・いいえ・ありがとう・さようなら・こんにちは」をランダムに音声で提示し,その中からひとつの単語を選ばせる実験を行った.被験者には20歳代前半の男性4人と50代の男性1人を選んだ.実験は閉眼の状態で行った.脳波のサンプリング間隔は2ms,刺激の提示間隔は約1秒,1回の実験で刺激を提示する回数は125回とした.1回の実験時間は約5分であり,これは被験者の集中力が持続する時間である.被験者の脳波に対して,中心周波数3Hzのバンドパスフィルタ,アベレージング,平均波形減算処理,窓関数による波形の切りだし処理を施して得られる波形から,正の最大のピーク値と面積を用いてP300を判定した.実験は各被験者に対して20回ずつ行った. 実験の結果,聴覚刺激による項目選択では平均で6割以下の正解率しか得られなかった.ここで上記の処理を施した波形を観測すると,目標刺激に対する応答脳波のピーク値が小さく,そのため誤判定が増加することがわかった.また,同一被験者において同じ単語を選択した場合のピークの潜時を比較すると,潜時の違いが200ms以上あった.目標刺激に対する応答脳波のピーク値が小さいのは,同一刺激に対するP300の潜時に違いが大きいため,ピーク値を減衰させていることが原因であると考えられる.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 井上倫夫,中島健二,加納尚之: "ハールウェーブレットを用いた高速フィルタ処理によるP300の検出"医用電子と生体工学. 38-1. 57-66 (2000)
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[Publications] 井上倫夫,中島健二,加納尚之: "提示された項目の一つを選択するときの項目数とP300成分"医用電子と生体工学. 38-2. 134-139 (2000)
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[Publications] 菊澤隆司,川村尚生,井上倫夫: "聴覚刺激によるP300を用いた項目選択"電気・情報関連学会中国支部第51回連合大会講演論文集. 477 (2000)