2000 Fiscal Year Annual Research Report
呼気筋疲労のリハビリテーションに関する基礎的、臨床的研究
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12832048
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大久保 隆男 国際医療福祉大学, 保険学部, 教授 (40006705)
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Keywords | 呼吸筋疲労 / 呼吸不全 / 呼気閉塞 / 呼気筋トレーニング / 腹筋トレーニング / 慢性閉塞性肺疾患 / 呼吸困難感 / 閾値呼気抵抗負荷 |
Research Abstract |
呼吸筋疲労は呼吸不全の重要な原因の一つである。呼吸筋疲労の研究は、1977年にMacklem & Rousossによって始められたが、その主たるものは吸気筋疲労の研究であった。しかしながら、呼吸筋疲労を起こす重要な原因疾患に慢性閉塞性肺疾患があるが、この場合の換気機能障害は呼気閉塞であり、それによる呼吸筋疲労として呼気筋疲労の発生が推定される。私どもはこの点に着目し、1991年に呼気筋疲労の発生を初めて証明した(J Appl Physiol 70:2632-2639,1991) 従って、慢性閉塞性肺疾患患者のリハビリテーションには、「呼気筋疲労による呼吸不全の発生」の予防のための呼気筋トレーニングの重要性が推測される。そのような観点から予備実験として、私共は呼気筋トレーニングを健常者に一定期間行い、その前後で閾値呼気抵抗負荷を行って、その前後で呼気筋疲労発生の程度の変化を検討した。 まず、最大呼気口腔内圧(P_<Emax>)、最大吸気口腔内圧(P_<Imax>)を測定し、P_<Emax>,P_<Imax>の40%及び60%で閾値呼気抵抗負荷を30分間2回繰り返し、負荷中5分毎に呼気筋力と呼吸困難感(Borg scale)を測定し、呼気筋疲労の発生を評価した。次に腹筋トレーニングを4週間行い、2週と4週目にトレーニング開始前の呼吸筋力測定と同様の測定を繰り返し、呼気筋疲労労の発生の程度をトレーニング前と比較した。その結果、トレーニング前に比較し静的な呼吸筋力(特にP_<Emax>)、閾値呼気抵抗負荷経過中の呼気筋力の低下(疲労)、及び呼吸困難感の進行に改善が見られた。結論として、呼気筋トレーニングは呼吸筋疲労による呼吸不全発生を予防する可能性のあることが示唆された。次年度は症例数を増やし、また他の現象の検討も併せて行う予定である。
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