2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨細胞におけるホルモンと機械的刺激情報伝達経路間の正のクロストーク機序の解明
Project/Area Number |
12832061
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
高垣 裕子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60050689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸満 盛憲 北里大学, 医学部, 教授 (70104528)
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Keywords | 骨細胞 / PTH / 廃用性骨萎縮 / メカニカルストレス / 協同作用 / 情報伝達経路 / 骨形成 / クロストーク |
Research Abstract |
高齢者の骨の細胞が機械的刺激に応答するメカニズムを検討し、PTH等のホルモンと機械的刺激の相乗効果の情報伝達経路におけるクロストークを示した。 1)高齢者から得られる骨細胞の単離と培養。骨は、治療の目的で大腿骨骨頭置換術等を適用された患者から付随的に得られる比較的正常な部位を患者の同意を得て使用した。骨芽細胞、幼若骨細胞及び骨細胞を海綿骨より調整するので、頭蓋冠とは異なり、骨片を1mm^3位に小片化すると、夾雑細胞の少ないサンプルが得られる。細胞の形態を確認後、既に発表した方法で細胞の分化段階を推定し、伸展刺激と超音波刺激を別々に与えた。応答としては、例えば、骨細胞の初期の応答(c-fos mRNAのCYBR I【○!R】 dyeを用いたリアルタイムPCR法による定量)をPTH存在、非存在下に検討した。約1時間後のオステオカルシンやIGFのmRNA量と共に、ラット細胞と類似の相乗的な結果が得られた。即ち骨頭置換の際の廃棄骨片検体より調製したヒト骨細胞でも伸展刺激に応答してc-fos,cox-2などの初期応答遺伝子ばかりでなく、骨基質タンパクのオステオカルシンや増殖因子IGF-IなどのmRNAの発現が起こること、それらがPTH存在下では相乗的に昂進されることが判った。不動化による骨萎縮のリハビリテーションの一環として、ホルモン療法と機械的刺激を組み合わせることにより、有効濃度を下げ、効果の範囲を拡げられる可能性がある。 2)協力者宮内は、送付された同一細胞について、既設の三菱化成FC300型細胞内Caイメージング装置を用いて画像分析によりCaイオンの流入を計測した。伸展刺激の強さは浸透圧の強さによって調節し、超音波刺激は帝人(株)より貸与された特注の骨折治療器を用いた。伸展刺激はこの骨細胞にもCaの流入を起こすが、超音波刺激は、起こさない結果が得られた。機械的刺激により標的細胞及び情報伝達経路が異なる可能性が高い。若年者から得られる骨細胞についても今後検討する。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Miyauchi,A et al.: "Parathyroid hormone-activated volume sensitive calcium influx pathways in mechanically loaded osteocytes."J.Biol.Chem.. 275. 3335-3342 (2000)
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[Publications] Naruse,K et al.: "Anabolic response of mouse-bone-marrow-derived stromal cell clone ST2 cells by low-intensity pulsed ultrasound."Biochem.Biophys.Res.Comm.. 268. 216-220 (2000)
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[Publications] Satoyoshi,M. et al.: "Matrix metalloproteinase-2 in dentin matrix mineralization."J.Endodontics. (in press). (2001)
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[Publications] Mikuni-Takagaki,Y.: "Osteocytes and Osteoporosis."Connective Tissue. 32. 303-306 (2000)
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[Publications] 高垣裕子: "骨・軟骨細胞と伸展・圧縮刺激"The Bone. 14. 529-536 (2000)
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[Publications] Mikuni-Takagaki,Y. et al.: "Stretch-sensing Mechanisms Uniquely Expressed in Osteocytes"Bulletin Kanagawa Dental College. 28. 13p-16p (2000)
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[Publications] 高垣裕子(分担): "骨細胞(osteocyte)の形成と機能in新分子骨代謝学と骨粗鬆症"メディカルレビュー社. 532 (2001)
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[Publications] Satoyoshi M. et al. (分担): "Matrix Metalloproteinase-2 in Dentinogenesis in Chemistry and Biology of Mineralized Tissues"American Academy of Orthopaedic Surgeons. 458 (2000)