2000 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下運動パターンの非侵襲的検査法の確立と胃電図との相関に関する研究
Project/Area Number |
12832065
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
東嶋 美佐子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40279005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小橋 基 岡山大学, 歯学部, 助教授 (80161967)
古我 知成 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教授 (50186649)
椿原 彰夫 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10138117)
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Keywords | 嚥下 / 喉頭運動 / 呼吸運動 / 胃電図 / 上喉頭神経 |
Research Abstract |
嚥下障害患者の障害程度把握や訓練計画立案の基礎的資料として活用する目的で、健常成人の嚥下時における頸部肢位と呼吸運動・喉頭運動・嚥下音の相関を検討した。股関節90屈曲位、体幹0度伸展位になるように端座位を取らせ基本姿勢とし、頸部が20度前屈、あるいは10度後屈になるように頸部肢位を調整した。嚥下に伴って嚥下性無呼吸が現れることはよく知られている。前屈位と比較して、後屈位では、喉頭運動持続時間と無呼吸持続時間は有意に長く、喉頭潜時と無呼吸潜時は有意に短かった。従って、頸部を後屈することにより、嚥下物の咽頭流入が加速されるために誤嚥が誘発されやすいことが示唆された。 上記の嚥下時の基礎データをもとに、胃の電気活動を経皮的に記録して、正常嚥下運動時に胃電図にどのような変化が見られるのかを検討した。対象は腹部愁訴がない健常者で行った。被験者にAg-AgCl電極を腹壁に装着し、時定数とフィルターを改造した生体電気用アンプを用いて増幅し、AD変換した後、コンピュータ上で解析した。安静臥位にてチューブを口腔内に挿入し一定の流量で水、あるいは0.9%NaClを口腔内に流入し、反射性嚥下を誘発した。両溶液とも嚥下に伴い胃電図は一時的に抑制された。随意性嚥下を行ったグループでも、両溶液の嚥下に伴い著明な胃電図上の抑制が見られた。この抑制は嚥下に伴う筋肉運動による可能性を検討するため、空嚥下時の胃電図を検討したが、胃電図上には有意な変化は見られなかった。従って、この反射の求心路は嚥下に伴う喉頭及び食道への機械的伸展刺激による上喉頭神経である可能性が考えられた。現在、嚥下物の量と質が嚥下や胃電図のパワースペクトラムや振幅の変化にどのような影響を及ぼすのかについて検討している。今後、老人あるいは嚥下障害者にできうる範囲でこの実験を施行し、嚥下障害の原因探求のためのデータを収集していく予定である。
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