2001 Fiscal Year Annual Research Report
小動物の脳疾患に対する核磁気共鳴画像診断装置の有用性と限界
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12833004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 博之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 学 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90261958)
西村 亮平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80172708)
佐々木 伸雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60107414)
松永 悟 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60282703)
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Keywords | MRI / 脳疾患 / 犬 / 猫 |
Research Abstract |
今年度は脳疾患が疑われて来院した犬、猫の約200症例についてMRI検査を行った。そのうち臨床所見、神経学的検査、臨床検査などのMRI以外のデータも十分な症例約100症例について、てんかん、水頭症、脳腫瘍、脳炎、前庭疾患の各疾患ごとにMRI像の解析を行った。 てんかん様発作を主訴とする症例では、MRI検査上異常を認めない真性てんかん、脳腫瘍、脳室拡大あるいは髄膜脳炎像など様々な画像所見が得られ、多くの脳疾患によりてんかん様発作が発症する事が確認された。犬の水頭症症例については、品種および個体による脳室の大きさにバリエーションがあり水頭症の診断を困難にしている。このためMRI検査を行った症例のうち、脳室の大きさの変化以外の脳病変が認められなかった86症例について、側脳室の容積、形状の測定を行い、犬種間の比較を行った。その結果、ラブラドール、ダルメシアンなど大型犬種では側脳室が小さく、個体間のばらつきも少ない傾向が認められた。一方、マルチーズ、チワワなどの先天性水頭症の好発犬種とされている多くの小型犬種では側脳室の容積のばらつきが大きい傾向がみとめられ、無症候性でも脳室の拡大を生じている犬が多いことが予想された。脳炎と診断された症例については、犬ジステンパーウイルス(CDV)による脳炎が疑われる症例が多く認められた。一方、壊死性脳炎の症例もMRI検査により数例診断され、そのMRI像の経時的な変化についても解析を行った。さらに従来生前の確定診断が不可能とされてきた肉芽腫性髄膜脳炎の症例についても、MRI検査およびCSF検査から診断できる可能性が得られた。脳腫瘍の症例については、髄膜腫等ではそのMRI所見から腫瘍の種類まで診断が可能であった。また、MRIによるボリュームデータは手術法の検討に有用であった。この他、前庭疾患、出血性病変の診断についてもMRI検査の有用性が示された。
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