2000 Fiscal Year Annual Research Report
犬の僧帽弁閉鎖不全症における腎機能および腎血管コンプライアンスの調節機構
Project/Area Number |
12833009
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高瀬 勝晤 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (40050596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上地 正実 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (90296426)
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Keywords | 僧帽弁閉鎖不全症 / 心不全 / レニンーアンギオテンシン系 / 腎機能 / 一酸化窒素 / 糸球体濾過量 / 抗酸化剤 / β遮断薬 |
Research Abstract |
体循環血液の約25%が腎臓に供給されており、心不全の病態においては交感神経、副交感神経ならびにレニン-アンギオテンシン系が複雑に作用して腎血流を調節している。僧帽弁閉鎖不全の犬にβ遮断薬のカルベジロールならびに抗酸化作用のあるビタミンEをそれぞれ投与し、腎血行動態および腎機能の変化について検討した。実験犬は成犬14頭を用い、僧帽弁閉鎖不全症のモデルを作成し、対照群7頭、MR群7頭の2群に分け、さらにMR群にカルベジロール(0.2mg/kg:Car0.2群)ならびにビタミンE(20mg/kg:VE群)を4日間1日1回投与した。PAH・チオ硫酸Naによるクリアランス試験を行った。さらにL-アルギニン(L-Arg)を投与しクリアランス試験を行った。L-Arg投与後の腎血漿流量(RPF)ならびに糸球体濾過量(GFR)は、健康犬に比較してMR-プラセボ群で有意に低値を示した。さらにMR-プラセボ群に比較してCar0.2群ならびにVE群が有意に高値を示した。僧帽弁閉鎖不全症においては、心拍出量の低下にともなって腎血流量が低下していることが示さた。NOの基質であるL-アルギニンの投与によって、MR-プラセボ群のRPFおよびGFRが増加したが、その増加率は健康犬に比較して低下していた。しかし、抗酸化作用のあるカルベジロールならびにビタミンEを投与することによってRPFおよびGFRが健康犬と同じ値にまで回復した。このことから心不全においては活性酸素により腎血管抵抗が増加し、抗酸化剤により腎血管のコンプライアンスが保持される可能性が示唆された。
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