2000 Fiscal Year Annual Research Report
生物における形づくりと細胞間相互作用:ゼブラフィシュ網膜の錐体モザイクを例に
Project/Area Number |
12834010
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
望月 敦史 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (10304726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巌佐 庸 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70176535)
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Keywords | 理論生物学 / 発生 / 細胞選別 / 細胞間接着 / 錐体モザイク / 反応拡散方程式 / パターン形成 |
Research Abstract |
魚類の網膜上では異なる光波長に感度のピークを持つ4種類の錐体細胞(B,U,G,R)が、規則正しく並んだ錐体モザイクをつくる。実験的にはこのパターンの生成メカニズムはまだ明らかではない。 このパターンが形成されるメカニズムを、異なる生物学的仮定に基づいた幾つかの数理モデルを解析することで明らかにした。分化済みの細胞が細胞間接着力に依存して移動をすると仮定したセルソーティングモデルによって、ゼブラフィッシュのrow mosaicが説明できることをこれまでの研究で明らかにした。今回、同一の枠組みのモデルで異なる細胞間接着力の大きさを与えた時に、もう1つの代表的なパターン、メダカのsquare mosaicが生成できた。また、それぞれのパターンが生成されるための細胞間相互作用の条件を定めることができた。 以上から錐体モザイクパターンの魚種間での多様性は、細胞間相互作用の大きさの進化により説明できる。 熱帯魚の表皮の縞模様形成と成長による変化が、チューリング機構によって説明されている。2つの拡散性の物質がある化学反応をするだけで、周期的な縞模様が形成される。しかし実際の魚で縞の方向が種ごとに決まっている点は、単純な基本モデルでは説明できない。縞模様の定方向性を説明するために、異方的拡散を取り込んだモデルを考えた。魚の表皮の構造に基づき、特定の方向に物質が早く拡散しやすいとするモデルを解析した。解析の結果、すべての物質が単純に異方的拡散をする場合には、縞の方向はランダムであるが、2つの物質のうち片方だけが異方的拡散をする場合に決まった方向に縞ができることが分かった。さらに詳しい解析によって2つの物質間で、拡散異方性の程度が少しでも異なれば縞の定方向性が生じ、どちらが大きいかによって縞の方向が決まることが分かった。この解析によって色素細胞にはたらく調節機構を解明する。
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Research Products
(1 results)