2001 Fiscal Year Annual Research Report
高率に心筋に分化する細胞株を用いた心筋細胞分化機序の解析
Project/Area Number |
12835003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 同文 東京大学, 大学院・医学系研究科, 寄付講座教員 (80313104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣井 透雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30311624)
小室 一成 千葉大学, 医学部, 教授 (30260483)
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Keywords | 再生医療 / BMP / Smad / TAK1 / ATF-2 / 転写因子 / 心筋細胞分化 / P19CL6細胞 |
Research Abstract |
心筋細胞は増殖能、再生能を持たず、廃絶した心筋は二度と回復が望めない点が心不全の治療を困難にする原因となっている。我々の研究の目的は、非心筋細胞から心筋細胞を分化誘導し、それを不全心への移植により心機能を改善させる、すなわち、自己の細胞から心臓を再生させるという再生医療の実現である、本研究では、心筋細胞分化の分子的機序の解明、非心筋細胞から心筋細胞を分化誘導する分子生物学的手法の確立を目的とした。 転写因子SmadファミリーとMAPKKKであるTAK1は心筋分化にも重要な骨形成因子(BMP)のシグナル伝達因子であり、また最近ATF/CREBファミリーに属する転写因子ATF-2がSmadとTAK1の共通の核内ターゲツトであることが報告された。そこでP19CL6細胞培養系を用いてSmad、TAK1およびATF-2による心筋細胞分化への関与を検討した。P19CL6はジメチルスルフォキシド(DMSO)の存在下で高率に心筋細胞に分化するが、BMPの阻害因子であるnogginを恒常的に過剰発現する細胞株P19CL6nogginは心筋細胞へは分化しなかった。この細胞にBMP特異的なSmadであるSmad1と共通のSmadであるsmad4の両者を同時に過剰発現させると、DMSOの存在下で拍動する心筋に分化した。一方BMPのシグナルを抑制すると考えられているSmad6を恒常的に過剰発現する細胞株P19CL6Smad6を解析すると、DMSO処理で拍動する心筋細胞へは分化せず、心筋特異的遺伝子の発現も認めれなかった。すなわち、Smad経路がBMPにより誘導される心筋細胞の分化に必須であることを示した。またP19CL6を用いた解析で、転写因子ATF-2はSmadおよびTAK1と協調してβMHCのプロモーター活性を上昇させた。不活性型のATF-2の過剰発現によって心筋特異的遺伝子のプロモーター活性は抑制され、心筋特異的遺伝子の発現および心筋細胞への分化も抑制された。以上、ATF-2がSmadおよびTAK1と協調して心筋細胞の分化に重要な役割を果たすことも証明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hiroi Y., et al.: "Tbx5 associates with Nkx2-5 and synergistically promotes cardiomyocyte differentiation"Nat Genet.. 28(3). 276-280 (2001)
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[Publications] Hosoda T., et al.: "A novel myocyte-specific gene Midori promotes the differentiation of P19CL6 cells into cardiomyocytes"J Biol Chem.. 276(38). 35978-35989 (2001)
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[Publications] Monzen K., et al.: "Smads, TAK1, and their common target ATF-2 play a critical role in cardiomyocyte differentiation"J Cell Biol.. 153(4). 687-698 (2001)
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[Publications] Takimoto E., et al.: "Up-regulation of natriuretic peptides in the ventricle of Csx/Nkx2-5 transgenic mice"Biochemical & Biophysical Research Communications. 270(3). 1074-1079 (2000)
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[Publications] Zhu W., et al.: "Ca^<2+>/calmodulin-dependent kinase II and calcineurin play critical roles in endothelin-1-Induced cardiomyocyte hypertrophy"Journal of Biological Chemistry. 275(20). 15349-15245 (2000)