2001 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力法を用いたエストロゲンリセプターの構造と環境ホルモンとの結合解析の研究
Project/Area Number |
12836001
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森 司 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (60241379)
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Keywords | エストロゲンリセプター / ニジマス / 分子動力学法 |
Research Abstract |
ビテロゲニン(Vg)はE2がエストロゲンリセプター(ER)に結合して肝臓で合成される蛋白である。しかし、E2以外のステロイドがVg遺伝子を誘導したため、なぜE2以外のステロイドがERに結合できるのかを量子化学的方法や分子生物学的手法で調べた結果、ステロイドの形は類似しているが、Vg遺伝子の発現を起こすものと起こさない物に分かれた。それらの分子の電気的な性質である静電ポテンシャルが異なっていたため、これを基準にステロイドとERの結合性を調べると1、水素結合が出来なければならない。2,疎水性相互作用による結合の安定性の2点の必要性が判った。そのため、酵母Two-ハイブリット用のベクターであるLacZプロモーターにニジマスER遺伝子を取り出し接続し、このベクターのERに結合に結合した様々なステロイドをX-glucの発現を用いて調べた。その結果、ビテロゲニン遺伝子の発現を誘導するステロイドや化学物質は酵母Two-ハイブリットシステムを用いてもほとんど同様の呈色反応を示し、これらステロイドがERに結合したことを示した。さらに、ERとの結合に重要な役割を果たしていると考えられるアミノ基であるHis(489),Arg(359),Glu(318)を非疎水性のアミノ基に置き換えた場合、その結合能力は著しく低下した。そのため、これらのアミノ基がステロイド骨格を有する物との結合には重要な働きを有していることが判ったが、アミノ基の変異と静電ポテンシャルの変化による.化学物質との結合強度との一般化には至っていない。今後、さらに多くの化学物質を用いてERの静電ポテンシャルの変化によるERと化学物質との結合強度の関係の一般化を試みたい。
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Research Products
(1 results)