2000 Fiscal Year Annual Research Report
外因性内分泌撹乱物質が脳の性分化・攻撃行動発現に及ぼす影響と作用機序
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12836010
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
篠田 晃 山口大学, 医学部, 教授 (40192108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳原 達也 山口大学, 医学部, 教授 (10116501)
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Keywords | エストロゲン受容体 / アンドロゲン受容体 / アロマテース / 内側視索前野 / 内側扁桃体 / 分界条床核 / ビスフェノールA / オクチルフェノール |
Research Abstract |
本年度は、CCDカメラ、コンピューターらの機器購入と設置および正常雌雄ラットの発達過程での扁桃体-分界条床核-内側視索前野の弓状領域(mPO-AM)でのアロマテース(AROM)、アンドロゲン受容体(AnR)、エストロゲン受容体(EsR)発現の発達過程での変化に関する実験データの収集が中心となり、内分泌撹乱物質の投与実験は、実験条件を決める予備実験にとどまった。AROM発現は雌雄ともに胎生13-15日頃より検出され、胎生後期-新生仔期にかけてピークに達した後、生後1週以内に落ち初め、4週頃より雄のみで増え始め、雌では低レベルの発現となる。AnRは雄で視索前野の室周囲領域にわずかながら認めれるも、一般に新生仔期では雌雄ともにmPO-AMではあまり発現せず、4週を過ぎるころより雄特異的に発現が増し、成獣では雄優位に著明な雌雄差が見られるようになる。EsRは、胎生期より雌雄ともにかなりの発現が認められ、特に内側視索前野尾側で雌優位の発現の性差が見られた。雌雄ともに成獣においても新生仔期における発現を維持するが、mPO-AMでは雌でやや高いものの雌雄ともに発現レベルは低く、4週を過ぎる頃より、雌のmPO-AMでは雌特異的に発現が増強し始め、性差が顕著になる。また、生直後に去勢した成獣脳での三者の発現パターンは、雌では大きな変化はなかったが、雄ではAROMとAnRの発現が減弱し、EsRの発現が増強した。生直後に去勢された雄へのジヒドロテストステロン投与はAROMとAnRの発現を増強させるがEsRの発現にはあまり影響がなく、エストロゲン投与はAROMとAnRの発現をやや増強し、EsRの発現を強く減弱させ、テストステロンの投与はAROMとAnRの発現を増強し、EsRの発現を減弱させることがわかった。現在、ビスフェノールA、オクチルフェノール、ノニルフェノールを成獣へ投与した際の脳内AROM、AnR、EsRへの影響、母ラットに投与した後の胎児脳AROM、AnR、EsRへの影響を中心に、データの収集中である。
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