2000 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類生殖細胞の発生・分化及び生殖器に及ぼす内分泌かく乱物質の影響に関する研究
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12836018
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Research Institution | 国立公衆衛生院 |
Principal Investigator |
山崎 聖美 国立公衆衛生院, 栄養生化学部, 主任研究官 (00218439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 由美子 国立公衆衛生院, 衛生獣医学部, 主任研究官 (50232137)
香山 不二雄 自治医科大学, 保健科学講座, 教授 (50177614)
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Keywords | 内分泌かく乱物質 / 生殖細胞 |
Research Abstract |
胎児期の内分泌かく乱化学物質への曝露が発がんに大きく影響を及ぼすと考えられることから、マウスを用いて受精から生殖細胞の発生における影響について調べた。マウスの場合、形態的に性腺の原基が認められるのは、胎齢10.5日前後である。この時期の生殖隆起には、形態上明確な雌雄差は認められないが、胎齢12.5日になると生殖隆起の構造に性差が認められるようになる。雄性生殖隆起内部には短軸方向に数本の精巣索と呼ばれる管状構造が形成される。一方、この時期の雌性生殖隆起内部には、多数の斑点状の構造が認められる。通常、精巣索と斑点状の構造は実体顕微鏡下における観察で識別できるため、これらの構造の出現により雌雄の判別が可能となる。通常、受精卵は妊娠4.5日で着床が完了する。そこで、ddYマウスを用い、妊娠3.5日より25mg/kg/dayになるようノニルフェノール、オクチルフェノール、ビスフェノールA、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジエチルヘキシルを強制経口投与し、コントロールとしてコーンオイルを与え、13.5日目に胎児を取り出し、さらに生殖細胞を取り出し、実体顕微鏡下にて観察を行った。その結果、オス、メス共に、コントロール群と比べ、内分泌かく乱物質投与群の胎児、及び胎児の生殖細胞に形態的には異常はみられなかった。 また、生殖器に及ぼす内分泌かく乱物質の影響を調べる目的で、ホルモン受容体の挙動の解析を行うために、ヒト乳癌細胞であるMCF-7、T47D、マウス乳癌細胞であるFM3Aに対するエストラジオール、上記内分泌かく乱物質の影響を調べた。その結果、これら内分泌かく乱物質はこれらの乳癌細胞の増殖を促進させることがわかった。特に、FM3Aは、無血清培地で影響を見ることができ、有用であることが明らかになった。
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[Publications] Yamazaki T,Okada Y,Hisamatsu Y,and F.Kayama: "Effects of endocrine disrupting chemicals s on lymphocyte responses"Organohalogen Compounds. 49. 394-396 (2000)
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[Publications] Horiguchi H,Kayama F,Oguma E,William G,Willmore,Pavel Hradecky,and H.Franklin Bunn: "Cadmium and platinum suppression of erythropoietin production in cell culture : clinical implications"Blood. 96(12). 3743-3747 (2000)
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[Publications] To H,Kikuchi A,Tsuruoka S,Sugimoto K,Fujimura A,Higuchi S,Kayama F,Hara K,Matsuno K,and Kobayashi E: "Time-depenndent Nephrotoxicity Associated with Daily Administration of Cisplatin in Mice"J.Pharm.Pharmacol.. 52. 1499-1504 (2000)
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[Publications] 香山不二雄: "環境ホルモン問題と健康問題"小児科. 41. 68-75 (2000)
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[Publications] 香山不二雄: "内分泌撹乱物質による健康問題-DES子宮内曝露の教訓から-"産婦人科の実際. 49(8). 1039-1044 (2000)