2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12871026
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Research Institution | Hiroshima Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
都留 民子 県立広島女子大学, 生活科学部, 助教授 (00236952)
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Keywords | フランス / ホームレス / 貧困 / 排除 / 社会政策 / 社会保障 / 社会福祉 / 連帯 |
Research Abstract |
1.フランス「福利国家」に関する理論研究としては、R.カステル著"Metamorphose de la Question Sociale"の訳出と、著者自身との意見交換(2000年9月)を通じて、「福祉国家」の歴史的発展とその今日的「危機」(住宅および雇用市場の悪化、貧困の拡大)を把握した。 2.フランスのホームレスの実態に関しては、公私の調査のデータベースを作成し、特に95年冬季の国立人口問題研究所のパリ調査に注目して訳出した。調査は、アメリカで使用されている調査および統計手法に基づくもので、科学的(客観的な)数値、そしてホームレスの属性(特に25歳未満の青年の増加、性別、家族関係)、支援策の効果などが把握できた。この調査からもフランスのホームレス問題では、路上生活はほぼ解消されており、支援策の課題が住居への(再)入居、公的就労の拡大であることも確認できた。 3.フランスのホームレス支援策の特徴は、支援団体へのヒアリングとその活動の見学、そして行政当局へのヒアリング(2000年9月)を通じて、公私の協同体制であり、それぞれの責任領域が明確であることが分かった。訪問団体は、最大の民間支援組織であるカトリック救済会、2箇所のホームレス宿泊施設、全国民間福祉団体連合会(UNIOPSS)、全国家族手当金庫、そして行政担当者としてパリ県労働雇用局、パリ16区福祉事務所の責任者等である。 4.広島市のホームレス二次調査の実行(一次調査は1998年2月に実行) フランスとの比較の意味で、2001年2月7日に、調査員89人によって、市全域での悉皆調査を実施した。200人近くの「路上生活者」をつかめたが、現在集計中である。調査の目的は、彼らが路上に至るまでの社会福祉などの社会施策の実行状況(機能不全)を明確にすることであり、フランス「福祉国家」の社会施策との比較をも行なうつもりである。
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