2000 Fiscal Year Annual Research Report
障害者自立概念のパラダイム転換に基づく地域福祉システム構築に関する研究
Project/Area Number |
12871029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Aichi Mizuho College |
Principal Investigator |
吉川 かおり 愛知みずほ大学, 人間科学部, 講師 (90309013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 正幸 佛教大学, 社会学部, 教授 (00268054)
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Keywords | 障害者 / 自立支援 |
Research Abstract |
今年度は、関連文献を収集しそこに見られる障害者の「自立」概念(自立観)を探ると共に、当事者活動や地域生活支援活動を展開している事業所を訪問し、自立支援課題の明確化を図ることを目的として研究を行った。 関連文献の収集については、計画段階では7月までに終了し、それらの整理から得られたキーワード(物的側面・精神的側面)に基づいて事業所へのインタビューを行う予定であったが、適当な文献を探すことに時間がかかり、1年間を通して文献収集・整理作業を行うこととなった。 事業所訪問は、「障害者」の「自立」概念を考える際に鍵となるであろう重度身体障害者・知的障害者を対象とした地域生活支援施設を選定した(重度障害者地域生活拠点「青葉園」・「伊達市地域生活支援センター」・「サポートセンターぴっころ」・甲賀郡障害者生活支援センター「OPEN SPACEれが-と」)。また、入所施設における「自立」についても検討を加えるため、古くから独自の理念と方法に基づいて援助がなされている施設を選び、訪問した(「大島藤倉学園」)。 これらの検討を通し、適切な道具(資金援助も含めて)と機会(自己研鑚・トレーニングも含めて)の提供によって自分の生活を自分でマネージメント(コントロール)していくことが可能なタイプの障害を持つ人々と、それらの提供だけでは不十分なタイプの障害(自己決定や意思表示・自律に困難がある)を持つ人々との「自立」支援の共通項は、自分に合う環境が見つかるまで「試し続ける」機会を保障することと、「失敗してもいい(つまずいた事を支えることのできる)」システム作りなのではないか、という仮説を得ることができた。 なお、当初予定していた生活の階層性についての検討は、次年度に持ち越すこととなった。
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