2001 Fiscal Year Annual Research Report
障害者自立概念のパラダイム転換に基づく地域福祉システム構築に関する研究
Project/Area Number |
12871029
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
吉川 かおり 東洋大学, 社会学部, 講師 (90309013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 正幸 佛教大学, 社会学部, 教授 (00268054)
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Keywords | 障害者 / 自立概念 / ライフステージ |
Research Abstract |
本年度は、前年度中に十分な検討をすることができなかった、諸文献に見られる障害者の自立概念について整理を行うと共に、知的障害関係、精神障害関係の両分野において、障害者の自立概念について本人および関係者の意見調査を行うことが課題であった。 前者については、一応の整理を終えた。それらを検討した結果、学齢期まで(未成年まで)、成人期、向老期以降というように障害をもつ人々のライフステージを分けた場合に、それぞれをつないでいく援助システムが現在の保健・教育・福祉の領域において欠落しているのではないかという仮説を得る事ができた。これは、来年度の研究課題の基礎となる知見と考えられる。 後者については、幾つかの精神障害者関係の事業所へのヒアリングや、予備調査などを通してアンケート調査票の作成に尽力したが、調査票作成に予想外の時間を要し、結果の整理は来年度に持ち越すことになった。調査票作成に難航した理由は、既存の障害概念を有し、既存の保健・教育・福祉システムの中で暮らしてきた当事者や家族、またそのようなシステムの上に仕事をしている関係者などに意見調査を行っても、結局は既存の枠内に収まるような結果しか得られないのではないかということが懸念されたためである。調査票に工夫する事によってそれを乗り越えることができるのではないかと模索したが、研究課題である「自立概念のパラダイム転換」につながるような結果を得る事ができるかどうかは疑問である。 障害をもつ人々のライフステージごとに自立の意味するところは異なっており、次のステップをどう描き、各ステップ間の橋渡しをどう支援するかが、福祉システム作りの鍵になるということを踏まえ、次年度の研究につなげたいと考えている。
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