2000 Fiscal Year Annual Research Report
韓国・済州島出身者のネットワーキング化の文化人類学的比較研究
Project/Area Number |
12871040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
原尻 英樹 放送大学, 教養学部, 助教授 (70231537)
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Keywords | 済州島出身者 / 海女 / チェイン・マイグレーション / ネットワーク・コミュニティー / 釜山 |
Research Abstract |
本年度は、釜山在住の済州島出身者の調査をした。この調査によれば、釜山の済州島出身者の生活形態には、三つの時期があることが判明した:(1)日本の植民地支配下において、出稼ぎ海女および定着海女による海女漁業活動の時期、(2)日本敗戦から1965年の日韓条約までの間、(1)の生活形態に加えて、主に対馬を媒介とした密航、密貿易活動の時期、(3)日韓条約から現在までの時期で、密航、密貿易が実質的に禁止され、かつ釜山が都市化されていくなかでの、都市生活者の時期、以上である。 しかしながら、いずれの時期においても、出身ムラの親睦会とケンダンと呼ばれる親戚関係を中心に人間関係が営まれてきたことは共通であり、この人間関係は日本在住済州島出身者及び済州島在住の済州島人にも同様のことがいえる。更に、筆者がこれまで論じてきた済州島人のネットワーク・コミュニティーのネットも朝鮮半島部にのびている。チェイン・マイグレーションの歴史的経緯は日本列島内とほぼ同じだといえるが、ただ1965年以後は、済州島からの都市生活者であり、それまでのチェイン・マイグレーションのあり方とは一線を画すといわなければならない。 次年度は以上の成果を踏まえ、個々の人々の生活史調査を主軸に置き、釜山へのチェイン・マイグレーションでその集中度が比較的高い、下道里出身者を中心に調査をしていく予定である。
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Research Products
(1 results)