Research Abstract |
引き続き,リーマン幾何学や,力学系などと,数理物理学との関わりを研究した. ミラー対称性の研究が深谷が15年前に研究していた,リーマン多様体の崩壊理論と関わることが次第に明らかになってきた.すなわち,最大退化点でのキャラビヤウ多様体は,リーマン多様体として,トーラスが崩壊して,低空間にグロモフの意味でハウスドルフ収束することが,予想されている. この,予想のゲージ理論版は,深谷が,やはり5年ほど前から研究している,アティヤーフレアー予想の,高次元かと見なせる.これらの,構想が次第に固まりつつある.ただし,直接リマン幾何学を応用することが可能かは定かでない.一方で,豊富な直線束Lを使って,代数多様体を射影空間に埋め込むことができるが,この埋め込みで,Lをそのたくさんのテンソル積で置き換えると,埋め込む射影空間の次元がどんどん高くなる.このプロセスは,多くの点からの距離関数を使って,リーマン多様体を埋め込み調べるという,リーマン幾何学で崩壊理論の中で用いられてきたテクニックと酷似している.この類似を利用できないか研究中である.また,Lをそのたくさんのテンソル積で置き換えてその極限をとる,という考えは,深谷が5年以上前に,城之崎の研究集会で,チャーンサイモンズ摂動理論の相対のために提示したアイデアと同じである.実量子化のボーアゾンマフェルドの軌道は,Lをそのたくさんのテンソル積で置き換えると,その数が増える.これは,有理ラグランジュ部分多様体でどんどん大きな分母を許すことに対応する.ミラーに移ると,これは,有理点の研究に関わる.一方でモノドロミーである,シンプレクディック同相の固定点である.これは,ディオファントス幾何学がシンプレクティック,複素双方の幾何に現れてくる状況であり,これを利用することで,ハミルトン系の研究とミラー対称性の接点を探りたい. 有理ラグランジュ部分多様体に対応する点が,モジュライの中でしだいに密になるという描像は格子ゲージ理論とも関わると思われる.グロモフなどの研究している,ランダム測度付き距離空間などとも関わると思われ,そちら方面からも考察を進めている.
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