2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12874013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
辻下 徹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10107063)
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Keywords | チュー空間 / 形式概念解析 / ガロア動作 / 神経回路網 / 二元論 / 閉包作用素 / 脳の認知機構 / 実例による学習 |
Research Abstract |
2項関係(チュー空間)が定める完備束(以下「ガロア束」)が持つ二元論的描像に着目し、神経心理学的知見を構造化する数理的枠組としてそれを利用できないかを調べることが研究の目的であった。チュー空間に伴う閉包作用素(ガロア動作と呼ぶ)を二層相互抑制型神経回路網の動作として実現し計算機実験を行うことにより、浅い巨大な完備束が、脳の認識様式のいくつかの特徴を数理的に記述することがわかった。抑制性結合の多いことが知られている大脳内にはガロア動作を近似的に行う部分があることが予想される。 ガロア動作を持つ神経回路網の位相は無向二部グラフで与えられる。ニューロンは、結合しているニューロンが発火したとき抑制を受け、ある時点で抑制が全くかからないとき発火する。一層は同期して地層に作用する。認識パターン(個定点)は、各層のパターンで冗長に規定される。感覚に近い方の層の小さなパターンは個別的認識を表し、大きいパターンは普遍的認識を表すと考えられる。 動作の特徴は、比較的小さな数κ<K(例、各層のニューロン数が百万、各ニューロンの仮想結合数が1万のとき、κ=2.7,K=3)があり、κ個以下の発火パターンは例外を除き閉じているが、K個以上の発火パターンは無意味なパターンを表わすが、例外的に大きなパターンが引きだされる。 この認識モデルでは、複数の認識パターンを持てば、共通する部分パターンを自動的に認識できるが、部分的パターンを組合わせても新しいパターンを生成する機能は持っていない。これは、実例を通して学ぶことが学習で代替不能な重要性を持っていることの神経生理学的説明を与える点が注目に値する。
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