2000 Fiscal Year Annual Research Report
部分的可観測確率制御理論の数理ファイナンスへの応用
Project/Area Number |
12874017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長井 英生 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70110848)
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Keywords | リスク鋭感的確率制御 / ポートフォリオ最適化 / ファクターモデル / フィルタリング / 確率偏微分方程式 |
Research Abstract |
・リスク鋭感的確率制御の数理ファイナンスへの応用として、ファクターモデルに対するポートフォリオ最適化問題を考察した。ポートフォリオを選択する際、ファクターの過去のすべての情報を使うことは、現実的でないという認識にたち、証券価格の過去の情報のみを用いて選択する問題を部分可観測確率制御問題として定式化した。ファクターは、多次元ガウス過程として定義し、証券価格過程はその瞬間的な期待収益率がファクターの1次式であるような、確率微分方程式の解として定まる確率過程の場合を考察した。この場合、問題はLEQG(線形指数2次ガウス制御)の部分的可観測な場合と問題が類似するが、ノイズが相関を持つこと、コスト汎関数が確率積分に関する項をもつ点で違いが生じる。しかしながら、フィルタリング理論を応用した類似した方法により、2種類のリッカチ方程式を解くことで、最適ポートフォリオが明示的に与えられることを示した。そこで用いた方法の概略は、ギルサーノフの定理による測度変換、条件付期待値の満たすべき修正ZAKAI方程式の導出、リッカチ方程式の解を用いたその解の明示的な表現、非一様なリッカチ方程式の解とそれから決まる、常微分方程式の解を用いた値関数の表現と最適ポートフォリオの構成等である。 ・この結果に関して、平成12年7月にイタリア、カターニア大学で行なわれた第3回非線型解析に関する国際会議において成果発表を行なうとともに、その会議に出席した関連の研究者と討議を行なった。 ・そこでの討議をきっかけにして、上記の問題を時間大域的な場合に考察する研究をはじめた。
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[Publications] H.Nagai: "Risk-sensitive dynamic asset management with partial information"Stochasties in finite and infinite dimensions, Eds.Hida et al., Birkhauser, Boston. 321-340 (2000)
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[Publications] H.Nagai: "Risk-sensitive potfolio optimization with partial information"Proceedings of the 39-th CDC Conference, Sydney. 1206-1211 (2000)