2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12874030
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
竹下 徹 信州大学, 理学部, 助教授 (70154995)
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Keywords | ポジトロニウム / 陽電子 / 素粒子物理 |
Research Abstract |
量子電気力学QEDの成功を疑う者はない。しかし、現在でも謎として残っている問題がある。それは陽電子と電子の束縛状態である純粋な量子電気力学の対象である、ポジトロニウムの寿命問題である。量子電気力学の理論計算と実験結果に5標準偏差の違いが存在する。しかし、近年、電子源としてパウダーを用いた、浅井らの実験は、理論計算と1標準偏差内で一致を示している。このような、実験技術上の問題は、真空中でポジトロニウムの生成を行えば全く(あるいは、制御できる範囲内で)なくなる。この問題の解決を目指して、本研究では、第一段階として、陽電子(ポジトロン)を比較的長く、真空中に閉じこめておくための装置の開発にとりかかった。このために、他の実験において、有る程度の成果のあった2個のペア空芯コイルによるマグネティックミラーによる閉じこめ磁場法を試してみることとした。このため、コンピューター上にシミュレーションを開発した。静磁場中での荷電粒子の動きを追い、どの程度の時間この空間にとどめることができるのか、計算させる事ができる。これを用いて、種々のエネルギー、角度、磁場を試した。2つの空芯コイルによってだけでは充分な滞在時間を達成することができなかった。このため、コイルの数を3倍にした場合のシミュレーションを行いつつある。 一方、ペア空芯コイルによる、閉じこめのための、コイル製作と磁場測定の準備を始めた。しかし、上記理由により、コイルの製作は現在有効であるかどうかの結論を待った後進展させる予定である。
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