2000 Fiscal Year Annual Research Report
光電子分光を利用した分子ビーム制御による遷移金属酸化物薄膜成長法の開発
Project/Area Number |
12874037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝川 貴司 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (90251397)
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Keywords | 光電子分光 / 遷移金属酸化物薄膜 |
Research Abstract |
光電子分光装置に分子線源を付設し、遷移金属酸化物薄膜の成長表面を光電子分光によって観測する装置を建設した。電子線アナライザーとX線源に差圧排気装置を設けることによって、薄膜成長中の真空度の悪い状況下でのX線照射、光電子スペクトル測定が可能となるように超高真空層の設計に工夫を凝らした。先ず、光電子分光装置が真空度の悪い状況下でも稼動することを確認するため、1x10^<-6>Torr程度の酸素中でアニールする過程でVO_2薄膜表面が清浄化される様子を、X線光電子分光によって観測した。薄膜表面が清浄化される過程で、V2p,O1s内殻光電子スペクトルの形状が変化し、これは光電子スペクトルが薄膜表面の評価に有効であることを示している。現在、酸素中にてMgO基板上にCoO薄膜成長を行い、その成長表面の光電子分光観察を試みている。本研究の主目的のひとつであるAl_2O_3基板上に三角格子を持つCo酸化物の成長を試みる準備として、三角格子を持つ層状Co酸化物を光電子分光によって調べた。Co^<2+>,Co^<3+>,Co^<4+>の価数変化によって内殻光電子スペクトルの変化する様子が解明され、これらのデータは今後のCo酸化物薄膜成長の指針となる。また、三角格子を持つ層状Co酸化物における電荷整列、Mn酸化物における電荷整列の可能性を検討した。これらの電荷整列を示す薄膜を合成することが今後の目標となる。
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