2000 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙線生成核種-^<32>P、^<33>P、^<32>Si-の測定法の確立と海洋学への応用
Project/Area Number |
12874062
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
乗木 新一郎 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (80109511)
|
Keywords | 宇宙線生成核種 / Si-32 / 水酸化鉄ファイバー / 溶存態ケイ素 / 粒子態ケイ素 |
Research Abstract |
初年度は、宇宙線生成核種であるSi-32を海洋学に応用する為に、まず分析方法の検討を行った。水酸化鉄コーティングファイバーによるサンプリング方法では海水中の溶存態ケイ素ばかりでなく粒子態ケイ素も同時に回収されるという仮説のもとに検討を進めた。過去の研究ではアクリル系の繊維に水酸化鉄をコーティングした吸着剤が用いられたが、本研究ではポリエステル系の染色に適した構造をもつ繊維を用いた。従来の方法では高性能の吸着剤を調製することはできず、調製方法の改良を行った。 調製方法は、水酸化ナトリウムを用いて鉄が着き易くする操作、塩化鉄水溶液に浸し鉄を着ける操作、アンモニア水でファイバー上の鉄を水酸化鉄に変化させる最終操作の三つの行程がある。一段階目の水酸化ナトリウムの処理は、今回使用した繊維では逆にコーティング量を低下させる結果となったので行わないことにした。二段階目では、溶液の温度、濃度、そして繊維を浸す時間の最適な条件をきめた。温度に関しては高い程良い結果となったが、あまり高温では繊維に変化を与えてしまうので、変化が起きない100℃に決定した。濃い塩化鉄に浸す程、良い結果が出る傾向にあったが、濃すぎると繊維が固まってしまう現象が発生した為、繊維が固まらない範囲で一番高濃度の50%とに決定した。浸す時間は、二時間までは増加の傾向があったが、それ以降では大きな増加は見られなかったので二時間と決めた。三段階目のアンモニア水による処理は改良する点はなかった。一連の改良により、鉄をコーティングした繊維の調製方法を完成した。 調製した吸着剤を径1.5cm、長さ30cmのテフロン製のカラムに充填し、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム水溶液を通して、濃度の減少量から吸着量を見積もる実験を進行中である。 業績:現在まとめ中であり、印刷公表したものはない。
|