2001 Fiscal Year Annual Research Report
メゾスコピック極限反応場としての単泡性超音波発光(SBSL)の研究
Project/Area Number |
12874066
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中林 誠一郎 埼玉大学, 理学部, 助教授 (70180346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 凉 東京商船大学, 商船学部, 助教授 (70198951)
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Keywords | 超音波 / SBSL / 発光 / 光化学 / キャビテーション |
Research Abstract |
SBSLは500mLの球対称な超純水の中で、最大半径1μmの気泡を超音波の定在波中に捕獲し、高速に気泡の膨張収縮をおこなわせることにより発生する。超音波のエネルギーが極めて微少な領域に集中するため、(1)励振周波数に同期したピコ秒発光が観測され、(2)気泡の最大温度は6万度にも達する。この現象は、数年前にアメリカで発見され、その発見の歴史的経緯から超音波物性など主に物理・流体力学の分野で研究が発展している。申請者は、化学の立場からこの問題に取り組み、すでに、塩(KClなど)を添加すると発光強度が増加することをつきとめた。これは、気泡の圧縮の際、気泡周囲の電気2重層を圧縮する静電仕事が無視できない程度に関与することを示す結果である。化学的な立場から見ると、SBSLはメゾスコピックな極限反応場である。ところが、この様な極めて微少な反応場を計測する手法は分析化学・物理化学の分野でいまだ確立されていない。大きなマトリクスの中に内包された微少領域での「生成物の分析」や「反応の時間分解追跡」は単一細胞やベシクルなどを対象にした分析化学に広範な応用を持つことは疑いがない。そこで、本申請ではSBSLを念頭に置いて、微少領域からの微弱、高速な発光を時間分解・エネルギー分解して測定できる計測技術を確立した。SBSLの発光機構に関しては、発光のスペクトルや、その時間変化から断熱圧縮による高温の発生が基本的な発光機構であると考えられた。温度変化を見積もるためには、断熱圧縮以外に水と気泡とのあいだのガスの交換に関わるエンタルピー変化が重要である。このモデルに従うと、スペクトルに見合う温度上昇を作り出すためには、ガスの比熱に関する要求から、気泡内には単原子分子(Ar)が蓄積されていなければならない。申請者らは、前項で示した塩効果から電気2重層の膨張収縮に関する静電仕事を新たに付け加え、現在、ガスの比熱に対する要求を再検証した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A.Karautouis, S.Nakabayashi: "Lasev Experiments,Theoretical modeling for the Diaguousis-"J.Bifrcations.Chaos. 11. 1275-1295 (2001)
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[Publications] A.Karautouis, S.Nakabayashi: "One dimentional Poincare f Map for--"Chem Phys.Lett. 335. 221-226 (2001)
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[Publications] N.Ohta, S.Nakabayashi: "UV Induced Desorption-Retrapping-"J.Phys.Chem.B. 105. 3211-3216 (2001)
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[Publications] Y.Shiomi, S.Nakabayashi: "Spatio-temporal Forcing on an Electrochemical"Phys.Chem Chem Phys. 3. 479-488 (2001)
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[Publications] E.Mishina, S.Nakabayashi: "Self-Assembled Cu/Cu_2O Multilayered"Nano Lett. 1. 401-404 (2001)
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[Publications] S.Nakabayashi, E.Fuku: "Quantum Contact by Colliding Fractal"Nano Lett. 1. 507-510 (2001)