2001 Fiscal Year Annual Research Report
先例のないキレート型高配位典型金属錯体の創製と精密有機合成への活用
Project/Area Number |
12874072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸岡 啓二 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20135304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 貴史 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80271708)
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Keywords | 典型金属化合物 / 有機アルミニウム / キレート / アルコキシケトン / ルイス酸 / ボラン / トリブチルスズヒドリド |
Research Abstract |
本研究者らは10年以上も前から典型金属化合物としての有機アルミニウム反応剤を用いる新規合成反応の開発を手懸けてきた。元来、有機アルミニウム化合物はその電子欠損性のため分子間会合しやすく、溶液中ではなかなかモノマーの状態で存在しない。このため近年、本研究者はある程度のかさ高さを導入することによって分子間会合を防ぎ、モノマーの状態に近づけた有機アルミニウム型人工酵素を幾つか創り上げてきたが、その際、従来の常識(すなわち、3配位型と4配位型のアルミニウム)では説明できない実験結果を幾つか得ている。しかしながら仮想的なアピカル型5配位中間体を考慮すれば、うまく説明がつくことが多い。そして最近、幾つかのキレート型5配位アルミニウム中間体の検出に成功している6本研究では先例のないキレート型5配位ホウ素中間体の存在を実験的に確認できるかどうか調べた。基質としてアルコキシケトン化合物を選び、それらをルイス酸としてのトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを用い、トリブチルスズヒドリド存在下で、ジアステレオ選択的に還元反応が進行することを見いだした。この反応では、活性中間体としてキレート型5配位ホウ素化合物を経由していると考えると、ジアステレオ選択性発現に関してうまく説明がつく。この中間体のNMR解析を行うことによって、特に水素とフッ素の相互作用を詳細に調べることにより、アルコキシケトン化合物とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランがキレート型高配位中間体を形成していることがわかった。
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