2000 Fiscal Year Annual Research Report
右および左円偏光を用いるキラル化合物の高エナンチオ選択的な絶対不斉合成
Project/Area Number |
12874078
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
そ合 憲三 東京理科大学, 理学部, 教授 (90147504)
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Keywords | 不斉合成 / 円偏光 / 不斉自己触媒 / エナンチオ選択的合成 |
Research Abstract |
ラセミ体のピリミジルアルカノールに円偏光を照射して不斉光分解を起こし,これにより誘起された極微小不斉のピリミジルアルカノールが,鏡像体過剰率の向上を伴う不斉自己触媒反応を行うことにより高い鏡像体過剰率のピリミジルアルカノールを得ることを目的として研究を行った.まず,ピリミジルアルカノールに超高圧水銀ランプで発生させた光をフィルターを通さず直接照射(ただし赤外線を吸収させるため水のフィルターを通した)したところ,良好な収率でピリミジルアルカノールの変換(または分解)反応が起こることを見出した.溶媒として,トルエン,ヘキサンなどを用いることができた. つぎに光を,水フィルター,313nmのUVフィルター,偏光版,および4分の1波長版の順に通過させて右または左円偏光とし,ラセミ体のピリミジルアルカノールに照射して変化を調べた.その結果,ラセミ体のピリミジルアルカノールの変化はフィルターを用いない場合よりもかなり遅いことが明らかになった.フィルターを用いない場合は,各種の波長の光が照射されるのでピリミジルアルカノールの変化が速かったものと解釈できる.そこで,不斉光反応(分解)を効率良く起こさせるためには,より適切な波長の円偏光を照射することが鍵となることを予測した.さらに,光増感剤を添加して光反応を助長することを試みた.また,ピリミジルアルカノールの亜鉛アルコキシドに同様に円偏光を照射して不斉誘起を試みた.
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