2000 Fiscal Year Annual Research Report
カールフィッシャー法に代わる極微量水分定量蛍光法の開発
Project/Area Number |
12874097
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 孝治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80154540)
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Keywords | アクリジン誘導体 / 化学センサー / 蛍光色素 / 蛍光水分定量法 / 固定化ポリマー膜センサー / 微量水分定量 / 有機溶媒中水分分析 |
Research Abstract |
化学センサーに発展できる機能性色素分子開発の基礎研究として、アクリジン骨格を有する蛍光色素分子の有機溶媒中水分濃度測定への応用を検討した。現在、有機溶媒中水分濃度測定は一般的に電量滴定を利用するカールフィッシャー法が用いられている。しかし、この測定法では特別な試薬が必要となる上、連続測定はできない。本研究ではこのような問題を解決でき、しかも簡便な測定が可能になるセンサー開発を目的としている。ここでは、溶媒極性変化に伴う吸収スペクトル変化が少なく、その蛍光スペクトルのみが変化することが報告されている4-(9-Acridyl)-N,N-dimethylaniline(KD-F0010)色素分子に着目した。この色素を用いることによって、単一の励起波長で様々な有機溶媒中水分濃度測定が可能となる。また、ポリマー膜への固定化を目的とし、膜剤モノマーとの共重合が可能なオレフィン基を導入した新規色素KD-F0011を合成した。今年度は、KD-F0010 KD-F0011、KD-F0011を膜に固定化したものについて、その一様な有機溶媒中での蛍光スペクトルの水分濃度依存性を系統的に詳しく調べた。 上記3種色素の固定化ポリマー膜のTHF中における相対的蛍光強度の水分濃度依存特性では、KD-F0010、KD-F0011の蛍光強度が、THF中の水分濃度0%のときに比べて、水分濃度1%時には約30%となり、水分濃度0〜1%の間で高感度に減少した。この際、分子中では水分濃度1%における相対蛍光強度は約60%となった。これはポリエチレングリコールを基本骨格とするポリマー中に、水分子が浸透しにくくなったためだと考えられる。これらの結果より、KD-F0010は高感度な有機溶媒中低水分測定に利用することができ、またKD-F0011を固定化膜は簡便な有機溶媒中の水分濃度測定に応用できることがわかった。
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Research Products
(1 results)