2001 Fiscal Year Annual Research Report
夛波長高速計測によるフラクトルミネッセンスの緩和励起状態に関する研究
Project/Area Number |
12875014
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
稲部 勝幸 金沢大学, 工学部, 教授 (80019744)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 昭一 金沢大学, 工学部, 助手 (70175503)
|
Keywords | ルミネッセンス / 発光スペクトル / マルチアノード光電子増倍管 / 塑性変形 / フラクション(破壊) / 緩和励起状態 / 放電スペクトル / 転位 |
Research Abstract |
本研究は,力学的エネルギーの付加によって励起される発光中心の形成過程,緩和励起状態について新たな知見を得ることを目的として遂行された.これまで得られた主な結果は以下のようなものである. (1)固体材料の塑性変形過程や破断の際に観測される発光(フラクトルミネッセンス)は観測時の雰囲気の影響を強く受ける.すなわち,発光は低真空化(約130Pa)で最も強く,高真空(10^<-4>Pa)や常圧下(1atm)ではほとんど観測できなかった. (2)雰囲気ガスが空気やArである場合に比べてNeの場合に最も強い発光が観測された. (3)New雰囲気下における発光のエネルギースペクトルはNew放電管の示すスペクトルに一致する.固体の破断に伴う発光は10〜100マイクロ秒と短いため,発光スペクトルの観測はマルチアノード光電子増倍管を利用することによって正確なデータが得られた. (4)破断時の発光の場合と同じエネルギースペクトルが塑性変形中の発光についても観測された. (5)固体表面にAu電極を蒸着し,塑性変形中に固体表面において電荷の移動が発生していること,つまり,表面帯電ができることを確認できた. 以上の結果より,固体の破壊時および塑性変形中に観測される発光は固体の変形に伴う転移の移動によって形成される表面電荷の蓄積に起因する放電現象であることが明らかとなった.すなわち,塑性変形に伴う固体表面に生ずるミクロな新生面における帯電がその起因をなすと考えられる.従って,この発光における緩和励起状態は固体表面における雰囲気ガスの励起状態であると云える.
|