2000 Fiscal Year Annual Research Report
ErAs/III-V半導体量子ヘテロ構造におけるトンネル現象の解明と負性抵抗デバイス
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12875058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 雅明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30192636)
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Keywords | ErAs / 半金属 / ヘテロ構造 / 微分負性抵抗 / 共鳴トンネル効果 / 分子線エピタキシー / 共鳴トンネルダイオード / 金属 / 半導体複合ヘテロ構造 |
Research Abstract |
平成12年度は、半金属(ErAs)/半導体(GaAs)超薄膜ヘテロ構造の形成と構造評価を行い、垂直方向の電子伝導特性を調べ、大きな微分負性抵抗を観測した。 半金属として、高温において熱的安定性があり,AlAs/GaAsとの相互拡散や反応がなく熱力学的に安定な界面を形成することのできるErAsを選び、ErAs/III-V半導体(GaAs,AlAs)の金属/半導体複合ヘテロ構造を分子線エピタキシー(MBE)法によって作製した。MBE成長においては、Erのクヌードセンセル用いてErAs膜厚の原子レベルでの制御性を達成し、厚さ1原子層〜数10原子層のエピタキシャル金属超薄膜を半導体中に作製し、エピタキシャル成長過程を詳細に調べ、その成長技術を確立した。さらに成長したErAs/III-Vへテロ構造についてX線回折や透過型電子顕微鏡によって評価を行い、金属/半導体へテロ界面の原子レベルでの平坦性・急峻性を確認した。さらに、成長したGaAs/ErAs/GaAs埋め込みへテロ構造という単純な構造において、メサ型ダイオードを作製し、垂直方向の電子伝導を調べたところ、室温で7.2,77Kで18.3という極めて大きなピーク/バレー比をもつ微分負性抵抗特性を観測した。この値はGaAs系共鳴トンネルダイオードのこれまで報告された室温でのピーク/バレー比の最高値(5.1)を越える値である。この実験は、半導体/半金属量子井戸界面に垂直方向に流れる電流に対して、金属中の量子準位を反映した微分負性抵抗(共鳴トンネル効果)を明瞭に観測したことを示すものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Tanaka and M.Koto: "Vertical Transport and Large Negative Differential Resistance of Epitaxial GaAs/ErAs/GaAs Buried Semimetal/Semiconductor Heterostructures"Physica. E7. 846-850 (2000)
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[Publications] M.Tanaka (Invited paper): "Semiconductor Spintronic Materials and Devices : Current Status and Future Prospects"FEDジャーナル. 11巻3号. 67-75 (2000)