2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12875074
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 良次 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20001779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 泰則 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00313106)
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Keywords | 走査型近接場光学顕微鏡 / 計測自動制御 / 量子ドット |
Research Abstract |
本研究の目的は、固体分光計測において高い空間分解能を有する走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)の小型化を図り、外部装置との整合性を高め、空間的な多次元化を実現することである。本年度は、昨年度製作したSNOMを用いて、半導体量子ナノ構造の光学特性の取得と、その小型化を含めた多次元計測への応用を目標とした。 半導体量子ナノ構造を調査する目的として、制御性の高い量子ドットを測定対象とした。量子ドットではキャリアの自由度が全方向に制限されるため、ナノ領域の光物性として特異な性質を示すことが知られている。量子ドットを光励起すると、キャリアはまずドットの閉じ込めに起因する離散状態に励起され、発光再結合準位へと緩和し発光する。さらに今回試料として用いている自己形成量子ドットでは、周囲の媒質を反映した多くの局在フォノンモードが存在し、その緩和スペクトルはドットのキャリア閉じ込めと周囲の格子状態を反映することになる。したがって個々のドットの共鳴エネルギーに対して、その発光分布像を得ることにより、その共鳴がどのようなフォノンと結合しているか決定することが可能となる。今回の測定結果では、バルクのフォノンモードと、局在フォノンモードの共鳴エネルギーに対してそれぞれ異なる発光分布像が観測された。このことは自己形成量子ドットにおけるキャリア-フォノン結合状態の違いを意味しており、ヘテロ界面の重要性を明らかにしたものである。したがって空間的な多次元計測を達成すれば、より詳細な物性が明らかになると考えられる。この目的のために、いくつかの装置要素に対して小型化と多機能化を試みた。具体的にはイナーシャルスライダーの小型化、高さ制御ピエゾの小型化、光学機器の低減を達成した。装置の小型化は、機械的な安定性も向上させるため、上記の結果をもとにしたフォノンイメージングへと発展させることが可能となる。
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