2001 Fiscal Year Annual Research Report
競合する感覚情報処理過程における意識遷移の非侵襲的定量計測
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12875075
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 哲生 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (40175336)
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Keywords | 意識 / アウェアネス / 定常誘発脳磁界 / 非定常解析 / 高次脳機能 / 主成分分析 / 生体信号処理 |
Research Abstract |
本研究では意識やアウェアネス(awareness)を、客観的指標となる物理量の計測という立場から自然科学的研究手法で捉え理解することを目指し、特定の異なる周波数で標識した複数の感覚刺激により誘発される定常誘発脳磁界(steady-state evoked field)を計測し、背景雑音となる自発性の脳磁界から分離・抽出することによって、システムとして捕らえた脳のマクロなダイナミクスを研究する新たな計測手法を確立することを目的として遂行された。 本年度は複合定常誘発脳磁界の分離・抽出法の確立と、分離・抽出された複数のモダリティ刺激に対する定常誘発磁界のダイナミクスとその相互関係の解析に重点を置いて研究を行った。従来、過渡的誘発応答と同様、定常誘発応答も繰り返し試行で得られる原データを加算平均することにより計測されていた。しかし、加算平均過程において時々刻々変化する脳内プロセスのダイナミクスは消失してしまう。そこで本研究では加算平均せずに単一試行の原データの時空間特性を利用することにより定常誘発応答を分離・抽出するため、狭帯域通過フィルタと主成分分析とを組み合わせた新たな手法を開発した。さらに原データを固有ベクトル空間へ投射することによって時間情報の復元を試みた。これらの手法により分離・抽出された複合定常誘発脳磁界の短時間フーリエ解析、ウェーブレット解析を行い、各定常誘発脳磁界の時間-周波数構造並びに時間-スケール構造を調べ、異なる感覚刺激に対する意識の時間的な遷移を捉えることができた。 本研究ではさらにfMRIや高分解能脳波計測による非侵襲計測も行い、競合的感覚情報処理プロセスに関する新たな知見を得ることができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小林哲生: "高分解能脳波による脳機能計測:類同性に基づく群化に関連する脳活動の検討"日本生体磁気学会誌. Vol.14,No.1. 54-55 (2001)
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[Publications] Jiuk Jung: "Event-related potentials in a similarity grouping task"Proceedings of 12th World Congress of the International Society for Brain Electromagnetic Topography. Vol.1(印刷中). (2002)
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[Publications] Yuwen Li: "A study on multiple source separation using spline Laplacian : Simulation and ERP measurements"Proceedings of 12th World Congress of the International Society for Brain Electromagnetic Topography. Vol.1(印刷中). (2002)
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[Publications] Tetsuo Kobayashi: "Reactivity of human cortical oscillations reflecting conscious perception in binocular rivalry"Proceedings of Toward a science of consciousness-Fundamental approaches. Vol.1(印刷中). (2002)
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[Publications] 鄭 址旭: "テクスチャーに基づく標的の分離・認知課題遂行時における事象関連電位"電子情報通信学会論文誌D-II. Vol.J85-D-II(印刷中). (2002)
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[Publications] 小林哲生: "複合定常誘発磁界の分離・抽出とダイナミクス解析"臨床脳波. Vol.44(発表予定). (2002)