2001 Fiscal Year Annual Research Report
固体酸化物電気化学ドーピング法による酸化物セラミックスの機能デザイン
Project/Area Number |
12875124
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松本 泰道 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80114172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 海 熊本大学, 工学部・物質生命化学科, 助手 (90315284)
鯉沼 陸央 熊本大学, 工学部・物質生命化学科, 講師 (70284742)
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Keywords | 個体電解質 / 超伝導 / 電気化学ドーピング / イオン注入 / ベータアルミナ / セラミックス / イオン交換 / 固相界面 |
Research Abstract |
固体酸化物電気化学ドーピング法は固体電解質とドープ対象材料の固相界面に適当な電圧を印加することで、固体電解質中の金属イオンを電気化学的にドーピングする手法である。本法が固相界面を介したイオン注入であるため、この界面の接触面積を微小化することで固体内の目的部分だけにドーピングが可能、つまり局部選択的ドーピングが生じると考えられる。本研究ではビスマス系超伝導セラミックスへの局部選択的ドーピングを行い、印加する電流値などのドープ条件とドーパント分布状態との関係について詳細に検討した。固体電解質は金属イオン伝導性ベータアルミナと酸化物イオン伝導性イットリア安定化ジルコニアを用いた。 ベータアルミナ微小電極を用いた超伝導セラミックスへの金属イオンドーピングでは、陰極側に使用する固体電解質の種類によってドープの可能性が大きく変化した。すなわち、陰極側に陽極同様にベータアルミナを用いた場合、対象材料内の電気的中性則を満足させるために、ドーピングと同時に対象材料を構成する何らかのカチオンが陰極側ベータアルミナへ移動する必要がある。しかし、固定化された結晶構造から金属イオンを引き抜くのは難しく、結果としてドーピングは起こらなかった。一方で、陰極側に酸化物イオン伝導体を使用すると金属イオンと酸化物イオンの同時注入により電気的中性を満足させるために、イオン脱離を要しない。従って後者を用いて超伝導セラミックスへの局部選択的ドーピングが起こることがわかった。材料内のドーパントの分布は固体電解質とセラミックスの微小界面を中心とした半球状に分布しており、この半球の径は電気量によって容易に数十から数百マイクロメートルの間で制御可能であった。以上、本手法の応用例としてセラミックスへの局部選択型金属イオン注入に成功した。この結果は一片の固体材料の局所機能性を制御できる可能性を示唆していると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Kamada, S.Udo, S.Yamashita, Y.Matsumoto: "Pinpoint doping using β"-Al_2O_3 microelectrode as one application of the solid oxide electrochemical doping (SOED) method"Solid State Ionics. Vol.146, No.3-4. 387-392 (2002)
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[Publications] K.Kamada, S.Udo, Y.Matsumoto: "Pinpoint silver doping into borosilicate glass using solid oxide electrochemical doping"Electrochemical and Solid-State Letters. Vol.5, No.1. J1-J3 (2002)